中学受験、第1志望の大学付属に「不合格」特待合格狙いも「失敗」……それでも「やって良かった」と母が語るワケ
しかし、その翌朝、成美さんは愛華ちゃんの「変化」を感じたという。
「3日目は第2志望校C中学の受験日でした。親子で言葉少なく、C中学に向かったのですが、愛華がC中学の校門の前で、こう言ったんです。『ママ、私の受験はまだ終わってない。昨日は昨日、今日は今日。今日成すべきことをするだけ! 最後の勝負、行ってくるね!』って。びっくりしました。愛華がその瞬間、私を追い越して、すごく大人になった気がしたんです。愛華の顔がまぶしくて、輝いているように見えたので、ああ、愛華は『大丈夫』だと思えて、そこでも、また涙があふれました……」
C中学の結果は合格。しかも「特進コース」という大学進学実績に関しては期待大のコースでの合格となったそうだ。
受験が終わった愛華ちゃんは最近、成美さんに、ある宣言をしたという。
「ママ、私はC中学で頑張って、大学付属のB中学に行くよりも、いい大学に入るからね!」
成美さんいわく、これは娘からの思いやりであり、「母のB中落ちショックを緩和しよう作戦」の一環での発言らしい。「愛華は本当にやさしくて、自慢の娘です」と言いながら、成美さんは、今の心境を次のように明かしてくれた。
「正直、B中学に対する未練はあります。B中学は私の憧れの学校だったので。でも、そんなこと、本当に些細な問題だなとも思えるようになってきました。愛華はたった3日間で、ものすごく成長したような気がするから。こんなに強い子なんだ、こんなに芯のある子に育ってくれたんだって……。我が子ながら『すごいな』って思いました。これを目の前で見られて、実感できただけでも、中学受験、やって良かったです!」
中学受験終了組の母に、当時の話を聞くと、たびたび成美さんと同じことを口にする。
中学受験は「我が子が成長する瞬間をこの目で目撃することができるもの」なのだ。これは、親にとっては合否を越えた天からのギフトであると思っている。今年も、たくさんの家庭にこのギフトが届けられていることだろう。
愛華ちゃんは現在、来月には届くであろうC中学の制服を心待ちにしているという。