桂文枝の亡き妻との“美談”、森会長・二階幹事長の失言――マスコミの「男性目線」が助長する社会の女性蔑視
下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!
『ニュースウオッチ9』(NHK)の有馬嘉男キャスターが3月で降板するという。有馬キャスターといえば、昨年の日本学術会議問題で、菅義偉首相を鋭く追及したことが話題になったが、そのことでの圧力説も流布されている。官房長官時代から言論に圧力に定評のあった菅首相のこと。今回も――。
第540回(2/4〜2/9発売号より)
1位「桂文枝 母と糟糠の妻を看取って『贖罪の3年半』」(「女性セブン」2月18・25合併号)
2位「三浦春馬さん実父が遺産相続問題渦中に急死!」(「女性自身」2月23日号)
3位「北野武「黒澤明監督を超えたい――」『最後の映画』5月始動!」(「女性自身」2月23日号)
これまで数々の浮気騒動を巻き起こしてきた桂文枝(77)の特集記事が「女性セブン」に掲載されている。これまで文枝を支えてきた2人の女性――妻と実母――が相次いで亡くなったからだ。描かれるのは文枝と妻の関係、そして長年続いていた文枝の女性関係だ。さらに、そこから浮かび上がってくるのが、文枝がいかに妻を軽んじているか、だった。
記事によると、結婚当初から家庭を顧みなかった文枝は、家事、育児などすべて妻まかせで、自分はひたすら芸事に没頭する。妻は文枝の仕事のサポートもするが、しかし夫は複数人の愛人と長期の関係を持ち、それがマスコミに報じられても、開き直り、時に面白おかしい会見を開いてマスコミも取り込んでしまう。そして妻は病を持ちながら、認知症の進む義母(文枝の母)の介護も行った――。
記事では文枝は妻が入院後、時間のある限り病室を訪れていたこと、妻も最後まで夫を思い続けた、と“美談”にまとめているが、なんだかね。
というのも、なぜ今回、この記事を取り上げたか。もちろんあの問題があったからだ。そう、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長による女性蔑視発言だ。森会長は「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」「女性は競争意識が強い」などと発言、これに対し大きな批判が巻き起こったことは周知の通り。さらに謝罪会見を開くも、謝罪とは程遠い“逆ギレ会見”になったことで、より一層の波紋を呼んでいる。
もちろん森会長の女性蔑視発言は容認できるものではない。だが、さらに不快に思うのは、この問題に対する男性たちのスタンスだ。そのひとつがマスコミの“男性目線”ぶり。新聞各紙も森会長の女性差別については俯瞰的に記すばかりだし、ワイドショーでは一部のコメンテーターや司会者たち(特に男性)が森会長のこれまでの功績を持ち出したりするなど、暗に擁護する姿勢を見せていた。