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イギリス官邸の“権力猫”とは? 「ねずみ捕獲長」として大活躍、英国民に愛される“猫画像集”

2021/01/29 17:57
堀川樹里(ライター)

 昔から「ねずみ捕り」として人間のために働いてきた猫。イギリスでは、船の積み荷をねずみから守るために猫を乗せていたという歴史があり、第二次世界大戦中には多くの猫が戦艦に乗務。ウィンストン・チャーチル元首相に撫でられている写真で有名になった「イギリス海軍戦艦プリンス・オブ・ウェールズの船乗り猫」ブラッキーなど、国民的な人気を誇る船乗り猫も存在した。

 イギリス海軍スループ艦アメジストの船乗り猫だったサイモンは、アメジストが砲撃を受けた時に負傷したが、回復後、すぐにねずみ捕りの任務に戻り「船員の士気を上げた」。その功績がたたえられ、従軍記章とディッキンメダル(戦争で活躍した動物に贈られるイギリスの勲章)を受章。1949年に戦傷がウイルス感染を起こし、合併症で亡くなると、葬儀にはアメジストの全乗員が参列した。

 イギリス海軍は75年に衛生上の観点から、船乗り猫を禁止。それから数十年たった今、イギリスの官邸のねずみを捕るために就任した猫たちが話題を振りまき、国民から愛されるようになった。

 今回は、そんなイギリスで要職に就く“威厳あふれる”「権力猫」たちをご紹介しよう。

首相官邸 ラリー

 首相官邸専属ねずみ捕獲長シビルが亡くなったことを受け、2011年にアニマルシェルター「バタシー・ドッグス・アンド・キャッツホーム」から抜てきされたラリー。官邸の公式サイトによると、仕事の内容は、ねずみ駆除、訪問客の出迎え、警備態勢の確認、アンティーク家具の寝心地点検。ブラックユーモア満載の非公式Twitterには43万人以上ものフォロワーがおり、最近ではボリス・ジョンソン首相に対する皮肉たっぷりのツイートが多くの「いいね」を集めた。

 威厳たっぷりで官邸前の道路に寝そべっているだけでも存在感がある彼だが、捕獲したねずみは6カ月でたったの1匹。目の前をねずみが走っていても寝続けるラリーは「殺し屋としての才能なし」のレッテルを貼られ、12年に隣に住むジョージ・オズボーン総務相の愛猫フレイアが官邸のねずみ捕獲を兼任することに。2匹の相性は悪かったが、フレイアが14年に引退するまでワークシェアした。

 19年6月にトランプ前米大統領が首相官邸を訪問した際には、大統領専用車ビースト(野獣)の下で雨宿りし「厳重な警備をかいくぐった猫」として話題に。昨年末、イギリスがEU(欧州連合)との通商交渉でピリピリした空気が流れる最中に、首相官邸前に集まっていたメディアの前で目障りな鳩に飛びかかり、追い払ってみせ、大きなニュースとなった。


 この10年間で捕獲したねずみはわずか5匹ほどだが、官邸の公式サイトによると、「現在、ねずみ問題についての解決策を熟考中」で、まだ「戦術計画段階」とのこと。14歳と大シニア猫だが、まだまだ現役で活躍している。

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