「24年前、男性用の抱っこひもはなかった」「別れても一緒に子どもを育てる」離婚を取材するライターが語る、子育てと社会の変化
上條 私の頃は、まだ寿退社という言葉が生きていましたし、学生時代の友達で、今もずっと仕事を続けている人は少ないですね。そういう時代だったので、男の人が子育てをすることもあまりなかった。24歳の長男が0〜1歳の頃、1996年頃には、男性用の抱っこひもはありませんでした。6歳下の子が生まれた17年くらい前、2002年頃からマクラーレンのベビーカーがはやりだしました。バーが高くて、男性にも合うベビーカーです。
西牟田 『昭和44年生まれ わが世代』(河出書房新社)という本を見ていたら、「保育園第一期生」とか「電車で五駅離れた『中野』の保育園まで通っていた」と書いてあったんですよ。その頃、「保育園に入れるのは、子どもがかわいそうだ」という話があって、確かにまだごく一部でした。今は男性が子育てに関わったり、保育園に連れていったり、変化はかなりあったということですね。
上條 「離婚するからといって、責任から逃れてもらっちゃ困る」という女性が増えているように思います。
西牟田 僕の子どもは2010年生まれですが、3分の1くらいは父親が保育園への送り迎えをしていました。僕が子どもの頃は、保育園に通っている子どもは、周りにはほとんどいなかった。
上條 世の中が変わり、子育ても変わってきましたね。
西牟田 僕も、子育てをするとわが子により愛着を感じるようになりました。時代が変わったから今、共同養育、共同親権という話につながってきているのではないでしょうか。
上條 法整備されそうですが、されても、「会えるか」というのは別ですね。
西牟田 結婚しているときに、いかに一緒に子育てしているか、共同養育が下地としてあってこその、共同親権なのかなと思います。
上條 いい方向に向かうことを願っているんですけど。
西牟田 共同養育を前提に離婚を考える人にとっては、共同親権が法制化されれば、世の中が少しずつ変わり、いい方向に向かっていくかなと思います。