「24年前、男性用の抱っこひもはなかった」「別れても一緒に子どもを育てる」離婚を取材するライターが語る、子育てと社会の変化
上條 西牟田さんは、ステップファミリー(子連れ再婚家庭)で育って、いろんな意味で当事者でいらっしゃいますね。
西牟田 うちは上に2人、兄と姉がいて、父と母それぞれの連れ子なんですよ。上の2人は別れた側との交流がほとんどない。そういう自分が書けば、単なる別居親ではなく、深みを出せるかと思いました。
上條 世の中には、子どもが親に会えないとか、いろんな問題があります。私も離婚家庭に育っているのですが、当時の風潮でしょうか、父親に定期的に面会するということはありませんでした。私は3人きょうだいで、小学校高学年くらいのときに父と離れたので、その後、高校生くらいになってから自分で父親に連絡して会いに行きました。でも、妹たちは小さいときに父と離れたためか、あまり父の記憶がなかったようで、特に会いたいとは思わなかったようです。ですから、離婚は子どもの頃から身近なところにあったんです。
父親が再婚していたので、私もステップファミリーに当事者性を持って聞けるかなと思います。ひとつ気をつけているのは、「わかるわかる、そうだよね」となりすぎるのは、よくないということです。一方の話だけになってしまわないよう、ちょっと俯瞰するように気をつけています。かわいそうだよね、というまとめ方は、その後幸せになれない。話を聞く中で、私も自分の経験を反すうして、負の経験をどうまとめようか考えています。プライベートな話を聞かせてくれる方には、感謝しかないですね。みんなリスペクトしています。学びになります。
西牟田 みんなたくましいですよね。『わが子に会えない』のときは、子どもと会えない人に対して、「そうだそうだ」と共感して乗っかっていたので、客観性があまりなかったんですが、いろいろな人の話を聞いたり法制を知って、客観的に見られるようになってきました。あのときの男性の話は、実際はどうだったんだろうーーと思い返したりするようにもなりました。
上條 事実はあるけれど、人によっていろんな見方があって、どれも正しいんですよね。