コラム
“中学受験”に見る親と子の姿

“中学受験恐怖症”になった娘……1月校含め“5連敗”、母が後悔する「言ってはいけなかった」一言

2021/01/24 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

 “親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

写真ACより

 各地で中学受験の本番を迎え、いよいよ来週は東京・神奈川決戦を迎える。今年はコロナ禍の影響により、親子の緊張と不安は、例年以上のものがあるだろう。

 気がかりなことといえば、「体調万全で受験できるか」と「合格できるのか」に尽きるのだが、やはり、ここは親こそが“大人としての余裕”を見せたいところである。

 最近、敦子さん(仮名)という女性から「我が家の経験を、受験生親子の方に役立ててほしい」という連絡が入り、話を聞いた。

 それは数年前のこと。受験本番中に、敦子さんの娘・菜々美ちゃん(仮名・当時小学6年生)が、「もう受験したくない」と言って、部屋に閉じこもってしまったのだそうだ。

 菜々美ちゃんは、お試しとして1月受験をしたものの、まさかの不合格。そのショックから立ち直れずに、2月1日を迎え、当日発表の同日午前校Aに不合格。押さえとしていた午後校Bにも不合格。スタート日に、早くも3連敗となってしまったそうだ。

 焦った敦子さんは、2日の第1志望校Cを断念し、ダブル出願しておいたという合格が望める他校Dへの受験に切り替えようと、菜々美ちゃんを説得したという。

 菜々美ちゃんも、これ以上の連敗は止めたいということで、2日はDを受験。しかし、当日発表でDも不合格だったことが判明した。

 敦子さんは、なんとか菜々美ちゃんをなだめ、3日に、今度はDより合格できる確率が高いと踏んだEを受験するように話をして、挑戦。しかし、ここもまたあり得ないことに、不合格になってしまったという。

 3日の夜、菜々美ちゃんは号泣しながら、叫んだという。

「もう受かり方がわからない!」

 そして、菜々美ちゃんは「もう受験はしない」と自室のドアにバリケードを築き、閉じこもってしまったそうだ。

 筆者が「C以外は、入学してもいいと思える“志望校”だったのか?」と質問すると、敦子さんはこう答えた。

「1日に受けたAとBは偏差値的にも適正校ではあり、一応、志望校といえる学校でした。でも、AもBも落としてしまった以上、チャレンジともいえるCを選択する余裕はなく、Dにしたんです。DもEも、正直偏差値で選んだので、過去問対策もしていませんでした」

 受験は恐ろしいことに、気流というものがあって、ちょうど上昇気流に乗れると、ミラクル合格をしてしまうほどの大番狂わせが発生するものなのだが、逆も真なりで、「落ち癖」がついてしまう場合もある。

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