サイゾーウーマンコラム『ウチカレ』北川悦吏子氏の脚本は「不安」!? コラム [再掲]佃野デボラのホメゴロシ! 『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』北川悦吏子氏の脚本は「不安」!? “朝ドラ大炎上”から繙く革命的な表現手法 2021/01/13 21:30 佃野デボラ(つくだの・でぼら) ドラマコラム Twitterと連動して神の内面を映した革命的朝ドラ 《もはや、ツイッターなくしては、ホン(脚本)が書けなくなってるな》《どうしたら脚本家になれますか、とかどういうお仕事ですかってお手紙をもらうけれど、私が書きながらつぶやくことを読んでもらえれば、それは一番いい答えになってるかもしれない》という神のツイートが物語るように、神・ドラマ・ツイートは三位一体であり、フラクタル(自己相似)の構図をなしている。ドラマは神に似て、神はドラマに似ている。ツイートは神を表し、ツイートはドラマを表している。 なるほど神はインタビューで『半分、青い。』について「自分の人生をもう一度生き直すようなつもりで書いている」と語り、ヒロイン・鈴愛の左耳失聴と、鈴愛の母・晴(松雪泰子)が「腎臓の持病で子供は諦めかけたが運良く授かった」という設定は、自らの境遇と同じにしている。《私の人生は、ずっと律を探す旅だった》とのことで、いつでも鈴愛を助けてくれる“ナイト”の律は神が深層心理で求め続けた存在。鈴愛の師匠である秋風羽織(豊川悦司)の「漫画の神様に愛された」天才性は神の自己評価の表れといえる。つまり『半分、青い。』は、神が登場人物たちに自己投影した新手の“自伝”であり、北川悦吏子の北川悦吏子による北川悦吏子のためのドラマなのだ。 鈴愛は自分の要求を通すために師匠の秋風を「原稿を窓から捨てるぞ」「セクハラされたと吹聴して陥れてやるぞ」と恫喝したり、土下座する秋風の姿を写真に収めてキャッキャするような性質だが、誰からも叱られず、内省する姿もない。ボクテの「鈴愛ちゃんは自分が場の中心になるとDNAレベルで嬉しくなっちゃう」という台詞に象徴されるように、朝ドラ随一の「周りが見えていないヒロイン」として描かれる。神の分身ヒロインとしての人物造形が実に見事だ。翻って、神が自己投影した登場人物以外の脇役たちは「どんな趣味で休日に何をして過ごしているのか」などまったく想像できないほど「描き込み」がない。ぼかした背景画のようにひたすらヒロインを引き立て、ヒロインの今後に好都合な台詞を吐いてふわっと去っていく。本来脇役に課されるはずである第三者の目、つまりツッコミが不在なのだ。「私」と「私を守り崇めてくれるあなた」だけの世界を描く作劇は、作者自身の社会観と強く結びついている点も含め、奇警である。 次のページ 特殊法人NHKに「接待」させる神の霊力が革命的 前のページ1234次のページ 楽天 連続テレビ小説 半分、青い。 完全版 ブルーレイ BOX1【Blu-ray】 関連記事 「北川悦吏子脚本は不安」「時代遅れ」菅野美穂、連ドラ主演作『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』が炎上しそうなワケ「永瀬廉さんではないです」北川悦吏子、King&Prince“批判疑惑”に弁解で「必死」の声噴出北川悦吏子、野島伸司、坂元裕二……1990年代を代表する脚本家、2018年の「人気低迷」『半分、青い。』北川悦吏子、大河ドラマ登板の可能性! 朝ドラ脚本家の“お約束”とは『半分、青い』、北川悦吏子が“悪目立ち”!? 「死んでくれ」で炎上も、SNS発言で火に油