万引きGメンはなぜ「おばちゃんのやる仕事」なのか? 危険と隣り合わせの現場で、私が感じていること
近頃は、社会情勢の急激な変化により生活基盤を失い、いままで犯罪と無縁だった方が万引き行為に至り、その罪から逃れるべく暴れてしまう人が増えているように感じます。初犯者は執行猶予中の人間と同じく、どうにかして罪から逃れたいという気持ちが強く表れがちで、暴れてしまう人が多いのです。以前は、女性相手に暴力を振るう被疑者は珍しく、素直に認めてくれることがほとんどでしたが、最近は、老若男女の見境なく暴れて逃走を図り、暴力を振るってくる人まで散見されます。自己中心的な人が増えているのか、小さなことで怒り狂う輩のような方々も増え、クレーマーを越えた当たり屋のような人まで目にするようになりました。外国人犯罪も多様化しており、平和な日常が脅かされているような雰囲気すら感じています。コロナ禍で蓄積された不安やストレスが、犯罪行為に向かう原動力になっているのだとしたら、この先の治安情勢は、悪化の一途を辿ることでしょう。
時代の流れと共に店舗は巨大化し、比較的高価なモノが、無防備に近い状態で陳列されるようになりました。買取業者やオークションサイトの乱立もあって、もはや売れないモノはないほどに転売環境は充実し、誰もがいつでも古物商になれるような社会です。私自身、最近になって「メルカリ」の使い方を覚えて、たまに買い物させていただいておりますが、万引きしてきたのであろうと思われる商品を見かけることも多いです。
例えば比較的高価で人気のある化粧品やサプリメントが、複数ずつ、妙に安い値段で出品されていることはありませんか。無論、全てがそうだとは言えませんが、出品されている商品群などをみれば、私にはなんとなくわかります。転売目的の万引き犯は、似たようなものを盗んでいくので、被害品と同じような商品構成を目にすればピンときてしまうのです。特に、食品や化粧品などの物品は、古物営業法における古物に該当しません。そのため、足がつくことなく、容易に換金できてしまうことから、大量盗難の被害に遭うわけです。
こうした背景が、転売目的の万引き犯を跋扈させている側面は否定できません。転売目的の万引き犯のことを、昔は「ヤフオクさん」、いまは「メルカリちゃん」とあだ名をつけて蔑んでいましたが(ちなみに書店における換金目的の万引き犯は「ブックオフ」と呼んでいます)、こうした人たちによって盗まれた商品を買わされることのないように注意しながら、ネットショッピングを楽しんでいる次第です。
(文=澄江、監修=伊東ゆう)