コラム
仁科友里「女のための有名人深読み週報」

マツコ・デラックス、夫の愚痴吐く妻に「選んだのは自分」! 結婚における自己責任論に思うこと

2020/11/12 21:00
仁科友里(ライター)

 確かに、夫が自ら、同僚女性の手作り弁当を食べたことを妻に話しているくらいだから、やましさのようなものは、あまりないのかもしれない。しかし、この問題のポイントは、妻が「嫌だ」と感じたことであり、そこをフォローする回答が求められるのではないだろうか。もしそうだとするのなら、「勘のニブい不出来な旦那を選んだのは自分なわけだし」という答えは、「そんなオトコを選んだのはオマエなんだから、オマエが悪い。オマエが我慢しろ」と聞こえなくもない。

 この問題に限らず、既婚者が夫婦間の愚痴を話すと、「結婚前にわからなかったの?」「どうして、そんな人と結婚したの?」「オトコを見る目がない」と返す人は一定の割合でいる。確かに自分で選んだ人だから、自己責任と言われても仕方がない面はあるのかもしれないが、結婚前に相手の人格を全て理解することは、実質不可能ではないだろうか。「そんなオトコと結婚しちゃったわけだから」と友達に言われてしまったら、今後、その人には世間話も兼ねた愚痴は一切言えなくなることだけは、確かである。愚痴を聞きたくないので、シャットアウトのために言うならいいが、もし相手と友達関係を続けるつもりなら、使わないほうがいい表現ではないだろうか。

 日本では、「夫の不出来は、妻の責任」という考えが根強いせいか、結婚を「夫の人格を全て認めた契約」だと解釈し、愚痴を許さない人がいるように思う。しかし、世の中に完ぺきな人間などいないのだから、パートナーへの不満があることは、悪いこととは言えないだろう。

 おそらく、マツコは喧嘩両成敗的に「夫がニブい」「(妻は)そんな人を選んだ」と発言して収めたのだと思う。それはコメンテーターとしては大正解だろうが、友達として考えるのならナシ。こうやって考えてみると、友達とは相手の取るに足らない愚痴を否定せずに聞ける関係を指すのかもしれない。

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2020/11/12 21:00
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