【エミー賞ドラマ7作品:あらすじ紹介】『ユーフォリア』絶賛の嵐、『ウォッチメン』11部門制覇、『シッツクリーク』ほか
9月20日に史上初のバーチャルで開催された第72回エミー賞。コロナ禍の影響を受け、欧米ではどの授賞式も軒並みバーチャルで行われているが、テレビ業界最高峰の栄誉と称されるエミー賞は「司会者とノミネートされた100人を超えるセレブがZoomで通話する」という形で中継。ロサンゼルスのステイプルズ・センターを貸し切り、スタッフのソーシャル・ディスタンスを保ちながら放送されるという異例の式典となった。
視聴率はイマイチだったが、多様性が際立っていたと高評価だった、そんな今年のエミー賞の主要部門でトロフィーを獲得した注目作品をまとめてご紹介。
『キング・オブ・メディア』 【ドラマ部門】作品賞&主演男優賞
ニューヨークを舞台に世界的巨大メディア企業を経営する、口が悪く何を考えているのか読めないワンマン経営者である老人ローガン・ロイ(と、その4人の子どもたちを描いたヒューマンドラマ。
1番目の妻との間に生まれた長男コナーは企業とは距離を置き、田舎で農場を経営。権力争いには興味ないそぶりを見せている。2番目の妻との間に生まれた元コカイン依存症である次男ケンダルは、後継者と目され、会社を守ろうと奮闘するが、ローガンからは評価されず、精神がズタズタになっている。ケンダルのすぐ下に生まれた三男のローマン(マコーレー・カルキンの弟キーラン・カルキンが熱演)は後継者としての後釜を狙うが、責任能力に欠けており、人望もない。末っ子で長女のシヴは政治コンサルタントだが、ローガンの会社の社員と婚約しており、自分の権利はしっかり主張するタイプだ。
後継争いが始まった直後にローガンは倒れてICUに入院するが、回復。認知症のような症状を見せつつも経営に復帰したことで、4人はじわじわと本性を見せ、醜い争いが繰り広げられるようになっていく。
同作は、『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』『セックス・アンド・ザ・シティ』『ゲーム・オブ・スローンズ』など、数多くの“物議を醸した”大ヒット作を生んでいる米HBOで2018年6月から放送中の作品。スポンサーに縛られず自由に描写ができることで人気を集めているケーブルテレビ局HBOならではの過激な内容となっている。
今回のエミー賞では、作品賞と、次男役を演じているジェレミー・ストロングが主演男優賞を獲得。ゲスト女優賞(チェリー・ジョーンズ)、監督賞、脚本賞、キャスティング賞、シングルカメラ編集賞と計7部門を受賞した。
日本では、スターチャンネルとAmazonプライム・ビデオで視聴できる。
『ユーフォリア/EUPHORIA』 【ドラマ部門】主演女優賞
9.11の後に生まれたデジタルネイティブ世代たちが、ソーシャルメディア社会でティーンとして生きる姿を赤裸々に描いた話題作。
主人公のルー・ベネットは不安障害や躁うつ病を抱え、心の支えは現実逃避できるドラッグだけ。両親の離婚に伴い引っ越してきた転校生のジュールズ・ヴォーンはトランスジェンダーで、出会い系アプリで手軽に援交をしている。オタク女子のキャット・ヘルナンデスはセレブを登場させる二次創作小説作家としてネット上での有名人だが、初体験動画がネット上に晒されるという被害に遭う。
幸せを求めるがゆえに、ドラッグ、セックス、ネットポルノやバイオレンスなどに溺れてしまう。そんな“アイデンティティクライシス”にもがく、今どきのティーンのリアルな姿や心の声を繊細なタッチで描いており、昨年6月に米HBOで放送スタートした直後から、たちまち話題となった。人気R&B歌手でグラミー賞ラッパーのドレイクが製作総指揮を務めていることから、音楽の存在感と映像美が「半端なく素晴らしい」と大絶賛されている。
今回のエミー賞では、ルーを演じるゼンデイヤがカテゴリー史上最年少の24歳で主演女優賞を獲得。ほかにも、メイクアップ賞、オリジナル歌曲賞の計3部門を受賞した。
日本では、スター・チャンネルとAmazonプライム・ビデオで視聴できる。