暮らし
白央篤司の「食本書評」
買ってよかった『決定版 感動の冷凍術』! 自炊の手間が省ける、“凄テクニック”レシピをやってみた
2020/10/11 18:30
もちろんレシピもたくさん。冷凍食材を乾燥と酸化から守り、調理の時短にもなる「下味をつけての冷凍」は、休日作りおき派の人なら覚えればさらに便利になるだろう。私が面白いと思ったのは、冷凍した野菜をそのまま調味液に漬けて解凍し、一品完成となるレシピ。上の写真のピーマン、小松菜のおひたしがそれなんだが、“アリ”ですねえ。弁当の副菜づくりにもいいな。
本の後半、日常的に使われる主な食材や、よく作られる料理の計83種類を、どう冷凍し、どう解凍して、どんな料理に使うといいのか、カタログ的にまとめられている箇所がやっぱりとてもありがたい。特に冷凍した野菜は、冷凍後においしく活かせるか、そうでないかは調理法によって激しく分かれる。ぜひとも個々の向いてる料理パターンを覚えてほしいところだ。
冷凍できないとされてきた豆腐やこんにゃくなどの食材を、「変化した食感を楽しんでしまおう」というスタンスで紹介されているのもよかった。一度凍らせたコンニャクのキュッキュッとした食感は、それはそれでいいもの。市販の冷凍品を活用したレシピも紹介されて、これがまた楽しい。上の写真は、冷凍の皮つきポテトを使った肉じゃが。手間がかからず、味もしみやすくて、ハマってしまった。冷凍術を活用して「調理にかかる手間と時間を効率化して減らすことを、私は『手抜き』ではなく『手間抜き』と」呼んでいます、と西川さん。
いいなあ、この考え方!
白央篤司(はくおう・あつし)
フードライター。郷土料理やローカルフードを取材しつつ、 料理に苦手意識を持っている人やがんばりすぎる人に向けて、 より気軽に身近に楽しめるレシピや料理法を紹介。著書に『 自炊力』『にっぽんのおにぎり』『ジャパめし』など。
最終更新:2020/10/12 10:42