カルチャー
性犯罪とDV「再犯」を防ぐには【第1回】

「30年間、電車で痴漢を繰り返してきた」――性犯罪“加害者”が語る「逮捕されてもやめられない」理由

2020/09/10 21:30
三浦ゆえ

 痴漢は性暴力のひとつであり、“性欲”によって犯行に及ぶと思われがちだが、Oさんの場合、そう単純な話ではないようだ。

「痴漢と性欲がまったく関係ないとは言い切れません。私も痴漢しながら勃起し、射精していた時期はありますが、それは『触っているうちに気持ちよくなった結果』であって、最初からそれが目的ではなかったです。性欲以上に、まず『女性の体に触りたい』という欲求がありました。自分がそれを実現するための手段が痴漢だった、ということです。女性の柔らかさや体温の温かさがすごく魅力的で、触っているとホッとするというか……。『人と一緒にいるんだ』という感じがして、自分が救われているような感覚がありました」

 痴漢と性欲が必ずしも結びつかないというのは、Oさんが「誰を選んでいたか」という話からもわかる。

「痴漢をする対象は、誰でもいいわけではないのですが、“そこにいたから”触っていたという感じです。容姿や服装が自分の好みかどうかはあまり関係なく、『触ることができる距離まで近づけるか』『人目につかないような位置にいるか』ということをチェックし、車両から車両へと移動しながら、痴漢する相手を探していました。いざ触ろうとなって、女性の服装が派手だと感じたら、その時点で痴漢をやめることもありました。派手な服を着る女性は、気が強そうに見えていたんですよね」

 被害に遭うほうは、心身に大きく深い傷を負う。Oさんに、その意識はあったのだろうか?

「今なら、痴漢に遭った女性は、怖くて身動きすらできなかったのだと理解できます。しかし当時は、女性が顔をしかめても『そんなに嫌がってはいないんじゃないか』という認識だったし、何も反応がなければ『自分を受け入れてくれている』とすら思っていました。明らかに抵抗されるとか、逃げられるとかしてようやく、『これ以上触らないようにしよう』と思うのです。ただ、触った瞬間に『訴えられるんじゃないか』という“恐怖心”も、確かにありました」

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