ネット通販「抗体検査キット」を医師がジャッジ! 「新型コロナ感染初期にも対応」怪しい謳い文句の真偽は?
もし比較的初期の感染を調べるため、抗体検査キットを使う場合、どのような点に留意すべきなのだろうか。
「やはり、感染のごく初期の潜伏期間に受けても意味がないこと、また精度は100%ではないことを前提とすべきでしょう。抗体検査は、あくまで『一つの目安』として捉えるべきです。ちなみに、抗体検査でIgM抗体が陽性になって、保健所に連絡したとしても、症状の有無を聞かれ、なければ自宅待機でPCR検査に回されない可能性もあります」
一方、現在、ネット通販で購入できるさまざまな「抗体検査キット」に関しては、「メーカーもたくさんあり、どれだけの抗体があれば陽性を示すかも異なる。信頼のおけるものはどれかというのは、正直『わからない』のが本音」と近藤氏。
「一般的なサプリと同じで、同成分を扱ったサプリでも、各メーカーがさまざまな宣伝をしていて、果たしてどこのメーカーが一番いいのかはわかりませんよね。各販売サイトの説明を吟味しても、書いたもん勝ちの面もありますし。そう考えると、たくさんある通販の『抗体検査キット』を自己判断で購入するよりかは、医療機関で受けたほうがいいとも思います。陽性が出た場合、その後どうすればいいかも、医師の指示を聞くことができるので」
「抗体検査で陰性だったから感染してない」と100%安心するのは危険だが、コロナ禍が続く中、自身の症状も踏まえつつ、複合的な判断を行うための一つとして、抗体検査をしてみるのはアリなのかもしれない。
近藤慎太郎(こんどう・しんたろう)
近藤しんたろうクリニック院長・医師・医学博士。1972年、東京都生まれ。北海道大学医学部、東京大学医学部医学系大学院卒業。日赤医療センター、東京大学医学部附属病院、山王メディカルセンター内視鏡室長を経て、現職。著書に『ほんとは怖い健康診断のC・D判定 医者がマンガで教える生活習慣病のウソ・ホント』(日経BP)などがある。