ネット通販「抗体検査キット」を医師がジャッジ! 「新型コロナ感染初期にも対応」怪しい謳い文句の真偽は?
新型コロナウイルス感染者数がいまだ明確な減少傾向に至っておらず、8月19日には、日本感染症学会が「日本は第2波の真っ只中」との見解を示す中、ネット上では「抗体検査キット」の通販サイトが乱立するようになっている。複数のキットをセットにして販売しているところもあれば、1キット単位から販売しているところもあり、1キット1万円弱から、安価なものだと3,000円程度と値段もさまざまのようだ。
そんな「抗体検査キット」の販売サイトを見ていると、「感染初期の検体に対しても判定が可能」の謳い文句が散見される。一般的に、抗体ができるまでには、感染後ある程度の日数が必要と言われており、先月、小劇場・新宿シアターモリエールでクラスターが発生した際には、主催社側が「7月4日に1名の方から(体調不良の)申告をいただきましたが、抗体検査の実施の結果、陰性であった」と主張すると、ネット上で「感染初期に抗体検査をしても意味がない」との声が飛び交っていた。
これは「抗体検査キット」販売側が、“偽り”の宣伝文句を使っているということなのか? それとも、実際に感染初期でも判定可能なのか? この謎を探るべく、今年6月に『ほんとは怖い健康診断のC・D判定 医者がマンガで教える生活習慣病のウソ・ホント』(日経BP)を上梓した、「消化器」並びに「予防医療」を専門とし、新型コロナウイルスに関しても情報発信を行っている近藤しんたろうクリニック院長の近藤慎太郎氏に話を聞いた。
検査の精度は「PCR検査」>「抗原検査」>「抗体検査」
現在新型コロナウイルス感染症の検査に関しては、「PCR検査」「抗原検査」「抗体検査」の3つが知られている。この3つは、それぞれどのようなものなのだろうか。
「これら3つの検査は、『PCR検査』『抗原検査』と『抗体検査』の2つのグループに分けられます。簡単に言うと、前者は、体内に新型コロナウイルス自体があるかどうかを調べる検査。後者は、新型コロナウイルスによる反応を調べる検査です。この『反応を調べる』とは、体内に入ってきたウイルスをやっつけるために作られる『抗体』というタンパク質があるかないかを見るという意味です」
「抗原検査」と「抗体検査」は似た言葉だけに、混同しやすい面もあるが、検査の種類としてはまったく異なるものだという。
「検査の精度に関しては、『PCR検査』>『抗原検査』>『抗体検査』の順で高いと思っていただいて問題ありません」