ママ友LINEで“パパ自慢”? ワーママがSNSで「パパの手作り弁当」写真連投、抵抗感を覚えるワケ
子どものための弁当作りというと、幼児期だけと思われているが、実は小学校に入学してからも必要になる場合があるという。介護施設で働いている奈緒美さん(仮名)は、小1の女児と4歳の男児を育児しているが、現在長女のために毎日弁当作りをしているそうだ。
「娘を学童クラブに預けているんですが、そこは給食室がないため、小学校が夏休みの間は弁当を持たせなければならないのです」
保育園とは違い、学童ではゴールデンウィークや長期休暇の間は、自宅から弁当を持参するルールになっているという。
「ほかの学童では、有料で購入した弁当を食べることができるみたいです。下の子の育児もあって朝はとにかく忙しいので、うちの学童も宅配弁当の注文ができないか、相談したことがありました。しかし、人数が少ないと頼めないからと、見送りになってしまいましたね」
幼児期の食育に力を入れている幼稚園などとは違い、学童での弁当は、そこまで栄養を考慮されたものではないようだと奈緒美さん。しかし、共働き家庭にとっては、毎朝の弁当作りの時間捻出は、厳しい状況だという。
「長期休暇中もそうですが、小学校が午前授業だけの日も、学童用に弁当を作らなければならないので、意外と必要な日が多いんです。ママ友とのブループチャットでは、『学童にはおやつの時間があるので、しっかりしたお弁当じゃなくて、簡単なおにぎりだけ持たせている』というママもいたのですが、子どもに聞いてみると『〇○ちゃん家はおにぎりに顔が描いてあった』そうで、『それって簡単どころか、ちょっとしたキャラ弁じゃない!?』とびっくりしましたよ」
奈緒美さんいわく、弁当作りの大変さは、料理をすること以外にもあるという。
「弁当って作って終わりじゃなくて、水筒の準備もしなきゃならないし、持って帰ってきたら洗わなければいけないじゃないですか。なんだかんだで、いろんな手間が増えるんです」
SNSなどでは、キャラ弁をはじめ、手の込んだ弁当の画像が数多くアップされている。これらは、毎日の弁当作りに悩むママたちの参考になっている面もあるが、「どれもクオリティが高いため、いらぬ劣等感を抱えてしまうこともある」ようだ。
「うちは弁当箱に、前の晩のおかずと、冷凍食品を詰めるので精いっぱい。娘は学童のスタッフから、『(冷食ばかりで)弁当の中身がいつも同じ』というようなことを言われたことがあるらしく、悲しかったようです」
共働き家庭が増え、子どもの弁当作りを負担に感じ、冷凍食品を使う親も少なくないが、一方で、周りから冷凍食品の多用を非難されることは珍しくないのかもしれない。奈緒美さんは「子どもの弁当は手間暇かけて作るもの」「楽をしてはいけない」という風潮を感じるそうだ。
「でもインスタに上がっている弁当の投稿を見ていると、投稿用に買ったとしか思えない既製品のおかずも多く、仲の良いママ友とグループチャットで『これ手作りっぽく見せてるけど、買ったやつだよ』『すごいよね。私はこんなことまでできない(笑)』と、送り合っています」
運動会などの“ハレの日”以外にも、親が子どもの弁当作りをしなければいけない場面は意外に多い。育児と仕事の両立で大忙しのワーママにとっては、SNSで「クオリティの高い毎日のお弁当」投稿が脚光を浴びているのを見るだけで、プレッシャーを感じてしまうようだ。「弁当作りは、もっと楽をしてもいい」……そんな風潮になってほしいと思わずにはいられない。