コラム
“中学受験”に見る親と子の姿
第1志望の「お嬢様学校」に合格したけれど……中学受験には“成功しなかった”母と娘
2020/08/09 16:00
“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。
中学受験における「成功」というと、「第1志望校の合格」を思い描きがちだが、実はそういう短絡的なことではない。
本当の意味での中学受験の「成功」は、親目線で言うと、将来的に我が子が中高一貫校での人間的成長をベースとした「人生の充実」を実感できるかどうかである。
そのためには、成人以降の我が子を想像し、より“咲きやすい”環境の学校に置いてあげることが一番よいと思うのだが、これは言うは易しのごとく、親にとってなかなかの難題なのである。
玲子さん(仮名)は、高齢出産と言われる年齢で舞花さん(仮名、現在20歳)を授かったそうで、それこそ目に入れても痛くないというように可愛がって育ててきたそうだ。「娘にケガをさせたくない」との思いから、危険なものは玲子さんが先に全て排除していたそうで、なんと舞花さんは中学生になるまで、包丁も触ったことがなかったというから、その徹底ぶりには驚きを隠せない。
習い事も「危険度」が低いものに絞られたため、舞花さんが熱望していたサッカー教室は当然ダメ。全て玲子さんが「危険ではない」と認めたレッスン……例えば、習字やピアノといったものしか習わせてもらえなかったそうだ。
このルールは延々と続き、中学受験も玲子さんの希望でチャレンジすることになり、舞花さんは、気の進まない習い事に加え、中学受験塾通いに明け暮れることになったという。