レジ袋有料化で万引き多発中! 「1枚5円」を絶対に払いたくない老婆との不毛すぎる戦い
警察官から事情を聞かれても、家から持ってきたものだと主張を崩さなかった黒い老婆は、証拠を見せろと、なぜか勝ち誇ったように繰り返しています。まるで埒が明かないので、根負けした警察官が防犯カメラの映像を検証することに決めると、その操作を店長に依頼しました。顔を紅潮させ、明らかにイラついた様子でモニターを睨む店長に、現認した時間と場所を伝えて検索をサポートします。その結果、黒い老婆が袋を手に取る映像とレジ袋をバッグに隠している映像を見事に発見。その全てが鮮明に記録されていたため、それを見せられた黒い老婆は言葉を失い、怒りと恥ずかしさが混ざったような顔でわなわなと体を震わせています。
「おばあちゃん、家から持ってきた袋じゃなかったね」
「……ちょっと勘違いしていたみたい。ちゃんと払います」
警察官の問いかけに、ようやく行為を認めた黒い老婆でしたが、謝罪の言葉が一つも出ません。ここで、ずっと堪えていたらしい店長が、怒りを爆発させるように言いました。
「払いますの前に、なにか言うことあるんじゃないですか? この忙しい時に、こんなに大騒ぎしといてさ、勘違いで済まされないよ」
「いつも来ているんだから、そんな言い方しないでよ」
「いや、もう来ていただかなくて結構。ていうか、二度とこないでください。あなた、出入禁止!」
「こんな年寄りをイジめて、楽しいかい? まったく、ひどい店だよ」
口喧嘩になり、より感情的になった店長が、被害届も出してやろうかと言い始めました。たった5円のこととはいえ、被害申告されるとなれば、警察も扱わないわけにはいきません。それを聞いた警察官たちは、明らかに困惑した様子で、店長を落ち着かせるべくたしなめにかかります。
「金額が金額なので、警察に一任してもらえませんか? 厳しく注意しますから、お願いしますよ」
あまりに小さな事件のため、本音を言えば扱いたくないのでしょう。店に謝罪するよう、女性警察官が15分ほどかけて黒い老婆を説得した結果、ようやくに頭を下げてくれました。謝罪の言葉を受けて、落ち着きを取り戻したらしい店長が、冷静な口調で黒い老婆に尋ねます。
「袋だけ、どうして買ってくれなかったんですか?」
「バッグを忘れてきちゃったけど、袋にお金を使うのは嫌だったんだよ」
「お金は、あるんですよね?」
「うん、5万くらいある」
塵も積もれば山となる。米一粒を大事にするほどに節約意識の高い日本人の国民性が、レジ袋の支払いをケチる心理につながっているのかもしれません。声をかけてから事態が収束するまで、およそ2時間。たった5円のレジ袋1枚のために残業となり、大人4人が費やした時間や経費がもったいなく、黒い老婆の腹黒さを恨めしく思いました。
(文=澄江、監修=伊東ゆう)