不安定なメンタルに心配の声も

カニエ・ウエスト、メンタル崩壊か? 「娘を殺しかけた」大統領選に向けた初集会で衝撃発言!

2020/07/21 18:59
堀川樹里(ライター)
「娘を殺しかけた」ってどういうこと!?

 米独立記念日にあたる7月4日、Twitterで「(11月の)米大統領選に出馬する」と宣言。「あと4カ月しかないのに、間に合うの!?」と全米をあぜんとさせたカニエ・ウエスト。

 7日には米経済誌「フォーブス」のインタビューを通じ、「バースデー・パーティ」(パーティには党という意味もあり)と命名した新党から出馬し、もうトランプ大統領を支持しないと明言。「オバマ政権時の副大統領だったことから大半の黒人票を得るであろう民主党のジョー・バイデン候補から黒人票を奪うことで、共和党のトランプ大統領を有利にする」との推測については「否定しない」と述べた上で、「(そもそも)黒人票は民主党のものだと決めつけること自体が、白人至上主義なんだぜ」と持論を展開。「何事においてもそうだが、オレは勝利する!」と、自信のほどをのぞかせた。

 インタビューでは「生涯で一度も投票したことはない」「2月に新型コロナウイルスに感染していた」と仰天告白したり、「コロナワクチンは、人々にマイクロチップを埋め込むために使われる」「(安全な人工妊娠中絶手術を受けられるように活動する)全米家族計画連盟の施設は、白人至上主義者が悪魔の仕事をするため、都市に設置された」といった陰謀論を支持していると熱弁。

 聖書にもとづき、人工妊娠中絶や死刑にも反対。マーベル・コミックの『ブラックパンサー』の本拠地である架空の国ワカンダをカニエの考える国家のフレームワークとして使いたいと力説し、「中国は大好き。新型コロナは中国のせいでも、中国人のせいでもない。彼らも神の子だ」と、中国と友好的な関係を築くと明言した。

 これに対し、ネット上では多くの人が「言ってることおかしい」「陰謀論を本気で信じてるんだ……」と大いに戸惑い、「精神崩壊寸前なのでは」と心配する声が続出した。


 9日には米芸能誌「People」オンライン版が、「カニエは今、躁状態とうつ状態を繰り返す双極性障害のサイクルに入り込み、苦しんでいる」という関係者の証言を紹介。妻キム・カーダシアンや家族は、「いつものように、数週間で普通の状態に戻ってくれるよう祈っている」と伝えた。

 大統領選まで4カ月を切っており、テキサス、ニューヨーク、イリノイなどの大きな州を含む複数の州で独立系候補として投票用紙に名前を記載してもらう「登録期限」が過ぎていることから、今回の立候補は見送るようだとも伝えられた。しかし、15日にはオクラホマ州の選挙管理員会がTwitterで、「期限最終日に、独立系候補者のカニエ・ウエストがオクラホマ州総選挙投票用紙に載る資格を得た」と発表。

 登録に必要な一定数の署名を集めるため専用サイトを立ち上げ、Twitterを頻繁に更新するなど、選挙活動を本格化させたカニエが、19日の午後5時から、サウスカロライナ州で初の選挙集会を開催した。

 ゴスペルが流れた後、防弾チョッキを着用してマイクも持たずに登場したカニエは、事前登録をして集まったマスク姿のゲストたちに向かって笑顔を見せながら演説を開始。

 処方されたオピオイド(麻薬系鎮痛剤)依存を克服するまでの戦いや、アディダスと結んだパートナーシップ契約の話をしたと思ったら、おもむろに「キムが第一子ノースを妊娠した時、最初は出産してほしくなかった」と激白。


「聖書には“汝、殺すなかれ”とある。あの日、オレのガールフレンド(キム)が電話をかけてきて泣き叫んでいた。オレはラッパーで、複数のガールフレンドがいて……。で、彼女が『妊娠したの』って言ったんだ。俺は『イエス!』と反応したけど、すぐに『いや、まずいな』って言ったんだ」

「彼女は1カ月、2カ月、3カ月間泣き続けた。オレたちは、この子を中絶しようと話し合った。彼女は(中絶用)ピルを握りしめていた」

 そんな時、カニエは、神の啓示を得たという。仕事をしていた時、「突然、ラップトップ画面が突然白黒になったんだ。そして、神に言われた。『私のヴィジョンをフ●ック(めちゃくちゃに)したら、あなたのヴィジョンをフ●ックする』」と、Fワードを使い説明した。カニエはすぐにキムに電話し、「(おなかの子を)この世に迎えるぞ」と告げたとのこと。「このスピーチの後に妻が私と離婚したとしても、彼女がノースをこの世に誕生させたことは変わらない」「彼女は、子どものために立ち上がったんだ」とキムをたたえた。

 そして、「オレの母親はオレの命を救った。オレの父親は、オレを中絶することを望んでいたから。カニエ・ウエストは、存在しなかったかもしれない。父親が忙しすぎて、それどころじゃなかったからだ!」と絞り出すように語ると、表情を崩し、嗚咽。自分も父親と同じように中絶を望んだことを恥じているのか、「オレは娘を殺しかけた!」と叫びだし、会場から「アイ・ラブ・ユー、カニエ!」と励まされる場面もあった。そして人工妊娠中絶に反対ではあるものの、予期せぬ妊娠をした女性のために「中絶は合法にしたい」と明言。「法律は神が作ったものではないから、法律を遵守する意味はない」と言い放った。

 ほかにも経済的な問題から堕胎を選ぶ人を救うため、「赤ん坊を迎えた人には100万ドル(約1億円)」を与えるという制度をつくることや、マリファナの解禁を公約。会場を沸かせた。

 カニエは頭に浮かんだことをそのまま口にしているようで、全体的に見て、とりとめがない演説となった。19世紀の奴隷制廃止論者ハリエット・タブマンのことを、「彼女は奴隷を解放したわけじゃない。奴隷をほかの白人のところへ働きに行かせただけ」という持論を展開し、会場をざわつかせた場面もあった。

 ネット上では、「即興演説すぎて何がなんだか」「ノースを殺しかけた、ということしか頭に残らない」「カニエっぽいとえば、カニエっぽいんだけど。大統領選だよ?」と混乱する人が多く見受けられ、「キム、自宅から早く旦那を迎えに来て!」「またメルトダウンして、強制入院させられそう」などと心配する人も。

 ハリエットに対する発言は大バッシングされるに値するものだが、「双極性障害なんだから仕方ない」「叫んだり急に泣きだしたり、メンタルがものすごく不安定そうで涙が出てくる。療養して、元気になってほしい」と同情が集まっている。

堀川樹里(ライター)

堀川樹里(ライター)

6歳で『空飛ぶ鉄腕美女ワンダーウーマン』にハマった筋金入りの海外ドラマ・ジャンキー。現在、フリーランスライターとして海外ドラマを中心に海外エンターテイメントに関する記事を公式サイトや雑誌等で執筆、翻訳。海外在住歴25年以上。

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最終更新:2020/07/21 18:59
ジーザス・イズ・キング
一度ゆっくり休んだほうがいいよ、カニエ