ユニクロ「エアリズム」だけじゃない? 「無印良品」「グンゼ」の夏用インナーが期待されるワケ
――ファッションライター・南充浩氏が、いま話題のファッションニュースに斬り込む!
新型コロナウイルス感染拡大による非常事態宣言が解除されると、直後から梅雨入りし、本格的な暑さが到来しました。アパレル業界では、3~5月、苦しい状況が続きました。3月、大型商業施設は営業していましたが、後半からは週末休業や営業時間短縮などが始まったばかりでなく、新型コロナに対する世間の不安が表面化しており、消費者の洋服の購買意欲が停滞。4月、5月は、施設の完全休業が相次ぎ、服を売ること自体ができなくなったのです。
そんなわけでアパレル業界では、春物商戦が完全にすっ飛んで、いきなり夏物商戦が始まったという印象です。とはいえ、先日まで報道や多くの人々の関心事が新型コロナ一辺倒だったため、各ブランドの夏の新商品や広告はあまり話題になっていない状況です。そもそも、メーカーの展示会や発表会も新型コロナの影響で中止になっていたので、どんな新商品があるのかも、あまり周知されていないのは致し方ないかもしれません。となると、自粛が終わったとはいえ、商品の売れ行きは伸びなさそうです。
そんな中、今回は夏用の肌着について考えてみたいと思います。マスクをしていると顔の周りに熱がこもるため、今までの夏よりも、いっそう暑さを感じることになるでしょう。注目の機能としては「接触冷感」ではないかと思います。肌に触れると一瞬「ヒヤッ」と感じる機能です。しかし、「接触冷感」とは、決して生地自体が冷たいとか、温度を下げるという「冷却」機能ではありません。あくまでも皮膚に触れたら「冷たい」と感じさせる機能で、言ってみればメンソールみたいなものなのです。
各社の保温肌着に見られる「発熱」機能の逆バージョンとなる本当の意味での「冷却」機能を持った繊維というのは、まだ一般的ではありません。本来、その機能を持った素材のアイテムを大々的に販売できれば、大ヒット間違いなしと言えるのですが、現状かなわないので、「接触冷感機能」を使用することになったのだと考えられます。
また、すでに夏向けの肌着では「吸水速乾機能」は当たり前、そこに消臭・防臭機能が付加された商品もだいぶ普及していますから、新しい機能を付け加えるとすれば「接触冷感」あたりが手頃だったという面もあるのでしょう。