コラム
仁科友里「女のための有名人深読み週報」

豊田真由子氏、「このハゲ〜!」パワハラ騒動からの復活ーー「努力は報われる」と語る彼女に助言したいこと

2020/06/04 21:00
仁科友里(ライター)

 スキャンダルにより議員でなくなり、激しいバッシングにさらされた豊田氏は希死願望にとらわれるが、それを救ったのはお子さんの存在だったという。豊田氏はお子さんへの思いを下記のように語っている。

「自分の子どもには、『努力は報われる』と伝えたかったのですが、私は日本中から全否定された人間です。『たとえ一生懸命頑張ったとことで、こんなふうに全部崩れてしまうのだったら、努力する意味なんてないじゃないか』と、子どもは心のどこかで思っているのではないかと、悩んでいました」

 しかし、コメンテーターとして復活できたことから、やはりお子さんには「努力は無駄にならない」と言えるようになったと述べている。

 社会的制裁も受けたが、コメンテーターとして返り咲き、イメージも回復してきた。なにせ能力の高い人なので、今後、違う道もまた拓けてくるだろう。パワハラは褒められたことではないが、かといってそのペナルティーを一生背負うのは妥当とは言えない。しかし社会復帰できてよかったねと言いたい一方で、「努力は報われる」とお子さんに伝えるのは、正しいのか考えてしまう。

 「新潮」によると、パワハラを告発した秘書は、支持者のバースデーカードの宛先とカードの名前が違うという、かなり初歩的なミスを犯している。もともとポンコツな人を採用してしまったのかもしれないが、豊田氏が「努力する」ことで、秘書の担う仕事量が増え、要求されるレベルも高くなって疲弊し、その結果、ミスが頻発した可能性もないとは言えないのではないか。「文藝春秋」(文藝春秋社)で、豊田氏は辞めた秘書の数を15人程度と話していた。これが多いのか少ないのか私には判断がつかないが、秘書は機械ではないので、自分の思うように動いてくれないことは確かである。スーパーウーマンの豊田氏が今後どんな仕事をするのかはわからないが、「努力は報われる」と信じて努力を続ける限り、豊田氏の下に付く人は、強い緊張状態を強いられることは間違いないだろう。

 豊田氏に必要なのは、「努力が報われる」と信じることよりも、「努力してもできない人もいる」と知ることではないか。世の中の大半は「できない人」であり、そういう人との付き合い方を覚えなければ、今後もパワハラだと訴えられる可能性はなくならないように思う。

 しかし、努力で人生を切り開いてきた人にとって、努力しないことはかなりの苦痛を伴うことだろうし、「できない人」の気持ちも理解しづらいのではないか。回復期を迎えている豊田氏だが、同時に人生最大の“難問”に直面しているのかもしれない。

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2020/06/04 21:00
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