コラム
佃野デボラのホメゴロシ!

藤原紀香は地球ともタメ口の関係。ノリ姐のブレない“おうち時間”をホメゴロス!

2020/05/30 16:00
佃野デボラ(ライター)

 東京・大阪はじめ7都道府県に緊急事態宣言が出る前日、4月6日には「おうちトレ〜掃除しながら引き締める方法」と題したエントリーにて、家での鍛錬の大切さを説きつつ、トレーニング・グッズを紹介。その次の行で、自身が経営する美容健康&スピリチュアルグッズの通販サイト「紀香バディ!コム」へ誘導するという商魂のたくましさも見せている。4月23日には、4食4,860円の汁なし担々麺の通販も紹介してくれた。「担々麺にそのお値段はちょっと……」という読者の声は、もちろんブレないノリ姐には聞こえない。

 5月7日、《今夜は、蠍座の特別な満月とのこと。私も、想いをこめようと思います》と、お得意のスピリチュアルな導入から、コロナの終息と世界平和を月に願ったことを報告。は〜ありがてぇありがてぇ。

 5月20日には、外出自粛を余儀なくされる子どもたちのために国際組織セーブ・ザ・チルドレンが立ち上げた絵本の読み聞かせ運動「#SaveWithStories」に応じ、グリム童話『ラプンツェル』の朗読を動画で披露した。岸谷五朗、木村多江、尾上松也、神木隆之介、黒木華など、同じ企画に参加したほかの芸能人たちのほとんどが派手さを抑えた普段着姿で語り部に徹し、自分が映るのは二の次で、あくまでも絵本、もしくは絵を映すタブレットが主役になるよう動画を撮影していた。そんな中、ノリ姐は、胸元の開いたピンクのサテンドレスを纏い、前髪をギンギンに盛り、自慢の富士額を際立たせたマンキンのヘアメイクでカメラの前に立つ。ラプンツェルに恋した王子様が彼女に会いにやってくるクライマックス、「もちろん魔女には内緒です」というくだりで、興に乗ったノリ姐がタブレットを押しのけ思いっきりカメラ目線で唇に人差し指を当て「ナイショ」のジェスチャーをしてみせたのには参った。涙が出るほど笑わせてもらって、感激ひとしおである。「お話」そっちのけで前面に押し出してくる「自我」。そう、ノリ姐はこうでなくっちゃ。

 そして驚くことに、このエントリーの前後に、ノリ姐らしさ全開でウォッチャーたちに大評判だったブログタイトル「氣愛と喜愛でノリノリノリカ」をなんの告知もなしに「藤原紀香 徒然はんなり日記」に突然変更してしまった。なんなんだ、京都出身でもないのに京都弁をテキトーに織り交ぜつつ三歩下がった、このタイトルは。読み聞かせという子ども向けコンテンツを掲載するにあたり威圧感を消したかったのか。それとも、「せや、梨園の妻たるもの、ブログタイトルは旦那さんの(片岡愛之助のブログタイトル「つれづれ愛之助日記」)にトーンを合わせるべきやない?」と、結婚5年目にして今さらひらめいたのか……真相は誰にもわからない。しかしこの謎の改題タイミングと、どさくさ紛れ感が実にノリ姐らしくていいじゃないですか。

 そんなこんなで、たとえ世の中がクライシスに面していてもノリ姐はノリ姐。その尊容を拝してニヤニヤする楽しみを変わらず提供してくれる藤原紀香の、懐の大きさに感謝せずにいられない3カ月であった。

註1:過去に付き合っていた彼氏に「『デカっ! 空母みたいや』と言われた」という逸話を、「ノリ姐のすべらない話」として何度もこすり続けている。
註2:2001年に幻冬社から出版された藤原紀香の“美の哲学”を満載した面白エッセイの著書名から転じて、ノリ姐のライフスタイルを表すワード。藤原喜明のプロレス人生を記した本かと誤解されがちだが、そうではない。

※《 》内、改行と絵文字の省略以外は本人による文章ママ。

佃野デボラ(ライター)

ライター。くだらないこと、バカバカしい事象とがっぷり四つに組み、掘り下げ、雑誌やWebに執筆。生涯帰宅部。

最終更新:2020/05/30 18:42
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