「9月入学制度」は見送りも「現状でギリギリ」と教員たちが悲鳴! 学校再開で見過ごされる課題
全国の小中高校では、タブレット端末を配布し、オンライン授業を導入することで解決を図ろうとしている地域もあるが、これにも現場は懐疑的だ。こちらは都内の区役所などと取引のあるIT系企業の担当者の声。
「テレワークになった人がZoomで会議するのが流行していますが、10人揃えば1人か2人は『マイクが入らない』とか『画像が映らない』とか、何らかのトラブルが起きますよね。児童・生徒を相手にオンライン授業したら、どれだけトラブルが続出するか。それに対応しているうちに授業時間は終わってしまいます」
東京都のブルジョア地帯といえる港区では、全小中学校にiPadを1人1台配布、早々とオンライン授業を実施することを決めるなどし注目されている。ところが、すでにデジタル化でタブレットの配布が実施されている小中学校では、児童・生徒がクラスメイトのタブレットを盗んで転売するというケースも相次いでいるという。Wi-Fi環境がないとか、親がパソコンに詳しくないという声はあちこちで耳にするが、問題はその程度では終わらないのだ。
現場の努力に委ねられている部分が多い授業再開後の動向。しかし、どんなに教員たちが善処しても授業の質が低下することは避けられない。
「実際に授業が再開されると、問題は次々に噴出するでしょう。文部科学省が5月22日に発表した衛生管理マニュアルによると、近距離で対面形式となるグループワークや近距離で一斉に大きな声で話す活動などは、感染リスクが高いものとして、感染レベルの高い地域では行わないよう呼びかけられています。音楽の合唱・楽器演奏、家庭科の調理実習、図画工作・美術・工芸の共同制作、体育の密集運動など、教科にかかわらず、実習や共同作業が必要なことはまったくできません。『ゆとり世代』のように、10年後、今の子どもたちが『コロナ世代』と揶揄されてしまうことは目に見えてますよ」(前出・小学校教師)
9月入学どころか、どうやって学校の機能を維持するのか、今年の教育行政は喫緊の課題が多過ぎる。