アパートのカーテンに火をつけ、駅前でめった刺し……「有名大学の彼」を殺めた、人気風俗嬢の悲しき“覚悟”【世田谷・学習院大学生刺殺事:後編】
(前編:風俗スカウトマンで「有名大学の真面目」な彼との同棲――人気ヘルス嬢に芽生えた殺意【世田谷・学習院大学生刺殺事件】)
スカウトマンには「風俗の女の子が札束に見える」
女性と遊びたい盛りともいえる21歳の福岡さんは、典子と同棲しながらも、彼女を特別扱いしなかった。彼の携帯電話には、典子の知らない複数の女の子たちから毎日、電話がかかってくる。はじめの数カ月は仲の良かった二人も、些細なことで喧嘩が絶えなくなった。まもなく福岡さんは喧嘩の際、典子に手を出すようになる。
「福岡には、『ガキのうちから、女を殴ってどうするんだ』と説教をしたこともあるよ。『もう、絶対そんなことしません』って答えてたけど、そのときだけだったね。外面のいい子で、喧嘩したあと、仲直りエッチしてごまかすんだよ」
典子と同じ店に勤め、同じマンションに入居していた女性はこう証言した。彼は典子を平手でなく、拳で殴った。お店に出た典子が、顔や足を腫らしていることもあった。
「私、彼女によく聞いたんだよね。『付き合って何が残る?』って。『何もない』って答えてた。『前にも向かっていない』って。いつも彼のことで悩んで、別れることを真剣に考えてたこともあるけど、結局は許してしまうんだよね」
周囲からは“尽くすタイプ”と言われていた典子は、自分のほうが年上だということもあったのか、福岡さんの食事代はもちろん、生活費まで面倒を見ていた。それどころかブランド好きな福岡さんが4年生になったときは、ブランド物のリクルートスーツまでプレゼント。彼はそのスーツを着て臨んだ氷河期時代の就職活動で、ほどなくアパレル会社の内定を勝ち取っている。
福岡さんのスカウト仲間は、スカウトという仕事柄、女性を見る目も変化すると語っていた。
「スカウトという仕事は、ナンパと同じです。とにかく相手に好かれないと、次の段階には進めない。個人的に付き合ってもいい、という男でなければ女の子は信用しないですからね。自分らにとって、風俗に勤めてくれる女の子は金のなる木。札束に見えます。福岡も、同じ場所でスカウトしてました。『風俗の女の子が札束に見える』という気持ちも、同じだったと思いますよ」
確かに福岡さんは、典子を“札束”として見ていたフシがある。リクルートスーツだけでなく、マルイで思う存分買い物をしては、その支払いを全て典子に押し付けてもいた。そして事件2カ月前「淋病事件」が起こる。