サイゾーウーマンコラム悪女の履歴書【世田谷・学習院大学生刺殺事:後編】 コラム 高橋ユキ【悪女の履歴書】 アパートのカーテンに火をつけ、駅前でめった刺し……「有名大学の彼」を殺めた、人気風俗嬢の悲しき“覚悟”【世田谷・学習院大学生刺殺事:後編】 2020/05/31 18:30 高橋ユキ(傍聴人・フリーライター) 悪女の履歴書高橋ユキ 部屋で見つけた使用済みのコンドーム 8月、淋病をもらった福岡さんは「お前がもらってきたんだろ」と典子を疑い、殴る蹴るの暴力を振るった。しかし典子の検査結果は陰性。にもかかわらず「こうなったのはお前のせいだ、お前の持っている金を全部よこせ」と凄んだのである。店長は、福岡さんを寮から追い出したが、すぐに元サヤに。 「こんなに寂しい思いをするんだったら……。私が東京に来て初めて優しくしてくれた人だから。それにセックスの相性がすごくいいの」 こう言って福岡さんを許し続けた典子は、福岡さんに丸め込まれ、福岡さんが見つけてきた経堂の賃貸アパートの引っ越し費用を全て支払った。にもかかわらず、この部屋に典子が入ったのは一度きり。「お前は風俗嬢だから、お前の名義で部屋は借りられない。名義は俺にする」と部屋に住み着いた彼は、家事や掃除、セックスのために典子を呼びつけるようになる。そのとき典子はこの部屋で、使用済みのコンドームを見つけたが、福岡さんは悪びれることもなく言い放った。 「待て。俺は確かにモテる。いまも18歳と19歳の女の子から言い寄られているが、お前も含めた3人を冷静に見ている。その中で、一番俺に尽くしてくれる子と付き合おうと思う。最近、お前を見直したところなのに……」 そして、いつものようにセックスになだれ込み、なし崩しになる関係。典子は限界だった。彼が社会人になるまでは……そう思って金の面倒を見ていたが、貯金もほとんどなくなった。 事件の日の午後6時。典子は合鍵で経堂のアパートに入り、福岡さんのいない部屋で、ストッキングの空き袋、使い捨ての歯ブラシなど“女の痕跡”を見つける。コンドームの個数が減っていることも確認し、福岡さんに電話をかけ、問いただしたが、逆にこう責められてしまう。 「お前、勝手に部屋に入ったのかよ! 女がいようといまいと、関係ないだろうが!」 次のページ スーパーで包丁を買って、トイレでバッグにしまった 前のページ123次のページ Yahoo 高橋ユキ つけびの村 噂が5人を殺したのか? Book 関連記事 遺骨DNAで判明した14年前の男児失踪“その後”……時効寸前に捕まったホステスの半生【札幌・小四男児殺害事件:前編】22歳年上の“スポンサー”との奇妙な「性生活」――元芸能人が告白した10年の歳月【元Vシネ女優・内縁夫刺殺事件】前編【池袋・買春男性死亡事件:前編】2時間6万円で買われた“ホテトル嬢”が客を殺めるまで殺人の手付金は水晶1000万円――裕福な“箱入り娘”が心酔した教祖【板橋・占い師グループによる射殺事件:前編】15年にわたる実父の強姦が黙殺された「栃木実父殺し」から現在――社会に排除される女性と子ども