ジャニーズ退所者への圧力が明かされる……? マスコミ愕然、“消えた”トップアイドルが綴った告白本
コロナ禍で自宅で過ごす時間が増えたジャニーズファンに向けて、いま改めて読み直したいジャニーズ本をご紹介。知られざるジャニー喜多川氏、ジャニーズ事務所の歴史を紐解く。
■2009年『職業=田原俊彦 「ありがとう」、それだけが伝わるならいいのに。』(KKロングセラーズ)
今回取り上げるのは、田原俊彦が09年に上梓した『職業=田原俊彦 「ありがとう」、それだけが伝わるならいいのに。』。
1979年に放送された『3年B組金八先生』(TBS系)で注目され、80年に「哀愁でいと」でレコードデビュー。瞬く間にトップアイドルの階段を駆け上がり、時代の寵児となった田原が、デビュー30年の節目に綴った、自身の半生記である。
当時の田原は、ジャニー事務所から独立して、またその退所1カ月前の会見での「ビッグ発言」から15年がたっていた。テレビでその姿を見る機会は少なく、コンサートのステージには立ち続けていたものの、新曲が話題に上ることもほとんどなく、一般的にはほぼ“消えた”存在であった。
それだけに本著も、それほど注目を集めなかったが、一部の芸能マスコミは強い関心を寄せていた。
かつてはトップ人気を誇りながら、独立と同時に長く不遇の時代を過ごすこととなった田原だけに、そのウラにジャニーズの圧力があるのではないかと、臆測が囁やかれていたのだ。さらには、これまで刊行された元ジャニーズによる暴露本と同様、ジャニー喜多川氏とのセクシャルな“関係”の真実について、何か明かされるのではと期待が寄せられていたのだ。
しかし、そこに綴られていたのは、
〈ジャニーさんの最高傑作になりたかった〉
〈ジャニーさんは真のクリエイター〉
といった、ジャニー氏への感謝や称賛の言葉ばかりだった。
「そういう意味では、正直、物足りなさは否めない内容でした。ただ、よくよく読み込むと、ジャニー氏について〈当時はお母さんのような存在にも思えた〉とか、中学時代を振り返る部分での〈野球と不良の「両刀使い」は、さすがに無理だった〉など、ジャニー氏のセクシャリティやジャニーズ事務所に関するさまざまなウワサを連想させる、危険なワードが散りばめられているようにも見えます。ジョーク好きな田原のイタズラ心……というのは、深読みが過ぎるでしょうか(笑)」(芸能記者)
また、「ビッグ発言」に関する告白も興味深いものがあった。これは、94年2月17日、長女が誕生したことを報告する記者会見を開いた田原が、
「何事も穏便にやりたかったけど、僕ぐらいビッグになってしまうとそうはいきませんっていうのがね、よくわかりました」
と発言したところ、「調子に乗っている」との批判が相次ぎ、マスコミからも袋叩きに。その後、テレビからお呼びがかからなくなったとされる一件だ。本著によれば、田原の発言の意図は別のところにあったという。
〈ほんの冗談のつもりで言ったこの発言は、その前後にあった言葉がまるまる省かれた。そこの部分を省略しなければすぐに冗談と分かるような内容だったのに〉
と「切り取り」によって、悪者に仕立て上げられてしまったと明かしている。近年、問題視されることが増えた「発言の切り取り」だが、田原もその被害に遭ったというのだ。しかし、果たしてそうだったのか?