コラム
【連載】堀江宏樹に聞く! 日本の“アウト”皇室史!!

「自分がホントの天皇」稀代のニセ皇族“熊沢天皇”現る! 56歳、雑貨屋店主の一生と“禁断の野望”

2020/05/09 17:00
堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

『天皇の暗号』(学習研究社)

――天皇に転職ってなかなか斬新ですね。

堀江 熊沢家はもともと愛知が本拠地の資産家一族のようです。基本は広大な土地持ちの農業経営者で、ときどき商業というイメージ。熊沢家は、総本家、本家、分家に細分されていました。しかも同じ熊沢一族なのに、各家によって家紋がまるで違うという、かなり不思議な特徴があります。『天皇の暗号』という本によると、愛知県・一宮市の時之島という地域の熊沢家は2つあり、「上(かみ)の熊沢」の紋はなんと「葵」。尾張徳川家のお膝元で、堂々と葵の御紋を使っているのでした。そして「下(しも)の熊沢」の紋は、さらに驚いたことに、「十六弁の菊」!!

――天皇家の菊の御紋と同じということですか?

堀江 いや、正確には天皇家の御紋は八重の十六弁の菊なので違います。また、明治になって一般人の使用が禁止されるまでは、この手の菊の御紋が皇族以外の人に使われるケースもありました。しかし、葵の御紋は……江戸時代には、徳川家の一族でも使用が制限されるほど厳密に管理されていたのです。熊沢家がいつからこれらの御紋を使っているのかも含め、正確な由来は僕が調査した限りでは不明でした。まったくの謎です。

 それにしても総本家から分家に至るまで、家の数が多い。また地域ごとに本家が存在しており、本当の庶民であれば、こんなことはあり得ません。土地と財産があるから、できることです。後の熊沢天皇こと熊沢寛道は、熊沢の分家の出身。そして、複数存在した本家のひとつの当主だった熊沢大然(くまざわ・ひろしか)に子どもがいなかったので、彼の養子となります。そして、熊沢大然の野望を引き継いでしまうことになるんですね。

――その野望って、もしかして……?

堀江 そう。「民間から皇族へ!」という、禁断の夢の実現への野望でした。

――どえらいことになってきましたが、次回につづきます!

堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

1977年、大阪府生まれ。作家・歴史エッセイスト。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。日本・世界を問わず歴史のおもしろさを拾い上げる作風で幅広いファン層をもつ。著書に『偉人の年収』(イースト・プレス)、『眠れなくなるほど怖い世界史』(三笠書房)など。最新刊は『日本史 不適切にもほどがある話』(三笠書房)。

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最終更新:2020/05/11 12:16
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