小6で中学受験「撤退」まで視野に……「ご褒美を欲しがる」息子に、母親がブチ切れたワケ
しかし、口で言うのは簡単であるが、なかなか思うようにいかないのは世の常なのかもしれない。
中学受験生の母である沙織さん(仮名)も、この「ご褒美」問題に悩まされている一人だ。息子である小6の悠馬君(仮名)は、志望校には入りたいという思いはあるものの、お世辞にも意欲的とは呼べない状態で、「なかなか勉強してくれない」という。そこで沙織さんはご褒美作戦を実行することにしたそうだ。
それは、悠馬君が塾の宿題をやり終えたら、100円のお小遣いをあげるというもの。なぜこのようなルールを設定したかというと、沙織さんは先輩母たちから
・次の模試で良い点を取ったら、お小遣い1,000円あげる
・今度の塾のクラス変更で上のクラスに上がれたら、ゲームソフトを買ってあげる
というような、遠い結果に対するご褒美を設定しても、子どものやる気は出ない、さらに子どもに「成績なんて上がらないし、どうせ買ってくれないんでしょ」という“不戦敗”の気持ちまで呼び覚ましてしまうので、逆によろしくないというアドバイスをもらっていたからだ。
沙織さんは言う。
「最初はうまくいっていたんです。張り切って、100円をもらいに来ましたね。でも、そのうちに、ご褒美がないと何もしないようになってしまったんです。そもそも、塾の宿題は『やって当たり前』であって、ご褒美がないとやらないという態度に、私はモヤモヤしていました」
さらに、味をしめた悠馬君は、「欲しいカードが150円だから、150円に値上げしてくれ!」と言うようになったそうだ。
「自分で言い出しておいてなんですが、悠馬の態度にブチ切れてしまって……。ご褒美欲しさが先に立って『とにかくやればいいんでしょ?』みたいな態度にしか見えないんですよ。問題もすっごくいい加減にやっていて、算数の筆算なども、段ズレを起こすほど汚く、そのせいで間違えるほどでした」
そこで、沙織さんは前言撤回。お小遣い制度をなくしたそうだが、今度は悠馬君の不信感を招き、今現在、冷戦中。塾も休校の今、沙織さんは中学受験からの撤退も視野に入れているという。
冒頭で、「ご褒美作戦GO!」とは言ったものの、ご褒美というのは非常に難しい、いわば禁じ手とも言えるものなのかもしれない。ご褒美が有効に働く時もある一方で、むやみに釣ろうとすると逆効果になってしまうことがあるからだ。
ご褒美は「インプット(=日々の課題)に力を入れればアウトプット(=試験)でよい結果を残せる!」という目標達成のために利用するもの。これを早い段階から親子で理解しておくことが、「ご褒美問題」の一つの解決法ではないかと思っている。