サイゾーウーマン美容・健康セルフハイフで神経損傷なぜ起こる? 美容・健康 インタビュー 「たるみ改善」「小顔効果」で人気のセルフハイフ、「神経損傷」「火傷」が報告されるワケを医師解説 2020/05/03 16:00 沼尾真美(ぬまお・まみ)医師 美容インタビュー ハイフで神経損傷はなぜ起こる? そんな若者にも人気のハイフだが、クリニックでの施術は、金額的な面で、誰もが気軽に受けられるものではないだろう。というのも、特に「元祖ハイフ」と呼ばれ、FDA(アメリカ食品医薬品局)の認可を得ているハイフ機器「ウルセラ」による施術は、クリニックによっては1回30〜40万円することも珍しくない。現在では、「ウルセラ」より安価なハイフ機器が登場し、クリニックでの施術代も以前と比べて安くなりつつあるとは言え、それでも1回10〜20万円程度の価格設定が一般的のようだ。 しかし、エステでのハイフは「1回1〜2万円」程度、セルフハイフに至っては「1回3,000円」を切るというサロンも存在しており、若い世代にとっては手を伸ばしやすい価格帯と言えるだろう。しかし国民生活センターには、その安全性を疑問視するような相談が寄せられているのだ。では具体的に、セルフハイフでの神経損傷や火傷はいかにして起こるのか。 「クリニックでのハイフ施術でも、神経損傷のリスクはあります。特に『ウルセラ』は高出力で、熱エネルギーがかなり深いところにまで届くので、かなりの痛みを伴うとともに、打ち方によっては神経を傷つけしてしまうことがあり、実際にそういった事例を見たこともあります。一方、セルフハイフでは、おそらくクリニックで使用するハイフより、低出力で皮膚の浅い部分にしか照射できない仕様になっているのでしょうが、出力の高低が安定しないこともあるのでは。浅いところに神経が通っている“ハイフを当ててはいけない部位”……例えば、口の下のあたりやおでこのサイドに、たまたま強い出力で照射してしまった場合、神経を損傷する危険性はあると思います」 セルフハイフでは、事前に「照射してはいけない箇所」の説明がされているというが、機械の操作に慣れていないと、“ついうっかり”が起こる可能性は否めないだろう。クリニックの中には、患者さんの顔にマーキングをして、「打ってはいけない箇所」を明確にするなどの対策を取っているところもあるというが、「セルフハイフの場合、マーキングをせず、鏡を見ながらハイフを当てていくと聞くので、大丈夫かなとは思います」とのこと。なお、この照射深度は、ハイフのハンドピースのヘッドを押し付ける強さによっても変わってくるというだけに、セルフで行うには、経験がないとなかなか難しいものなのかもしれない。 「また、ハイフは動かしながら皮膚に照射していくのですが、重なって同じ箇所に打ってしまうと、火傷のリスクもあります。基本的にハイフの施術には、解剖学的な知識と技術が必要となるというわけです。繰り返しになりますが、セルフハイフはそういった知識や技術がなくても受けられるよう、低出力に設定されているのだろうと考えられるものの、だとすると『効果を実感できないのでは』とも思ってしまいますね。同じハイフと言えど、『ウルセラ』とセルフハイフの機械とでは、まったくの別物なのかなと感じます」 「ウルセラ」は、コラーゲン生成期間を考えると、「半年に一度受ければ十分と言われている」というが、セルフハイフは、2週間ごとの施術が推奨されるケースが目立つ。沼尾先生は「それだけ頻繁に受け続け、例えば20年後に皮膚がどういう状態になるのかは、しっかり検証されていないのでは」といった疑問も抱いたそうだ。 誰もが気軽に受けられるセルフハイフだが、実際にサロンに足を運ぶ前に、ハイフとは何かを調べてみるということが大切なのかもしれない。 沼尾真美(ぬまお・まみ) 2006年、香川大学医学部卒業後。医療センターにて皮膚科、形成外科、都内美容クリニック院長を経て、昨年から広尾プライム皮膚科勤務。主に得意としている治療は「注入」と「スレッドリフト」の治療。 広尾プライム皮膚科 ーー後編では、「セルフハイフ以上に、エステティシャンが施術を行うハイフのほうが危険度が高いのではないか」とする医師の見解をご紹介する。 前のページ12 最終更新:2020/05/03 16:00 Yahoo 美人画報ハイパー/安野モヨコ 「まずは調べる」は大切なこと 関連記事 小顔、鼻が高くなるマッサージで肌ボロボロ!? 上原恵理先生が斬る【その美容法は意味がない!】“ジャニオタ三種の神器”、本当に効果あるの? ウワサのサプリ・ケア用品を医師・専門家が検証サウナブームに専門医が警鐘! 「整う」より正しい入浴法の基礎とは!? グルタチオン配合の「白玉点滴」「美白サプリ」はニセ医学? 医師に聞く「証拠はほぼない」恐るべき実態活動休止まで1年の嵐、メンバーの中でもっとも「老けやすい顔」は誰? Dr.高須幹弥が診断 次の記事 元女囚にも「コロナ離婚ブーム」 >