「たるみ改善」「小顔効果」で人気のセルフハイフ、「神経損傷」「火傷」が報告されるワケを医師解説
「『セルフエステ』の契約は慎重に検討しましょう!」
今年2月、消費者問題・暮らしの問題に取り組む独立行政法人「国民生活センター」が、近年セルフエステに関する相談が増加しているとして、注意喚起を行った。その具体的な事例として挙げられているのが、「HIFU(ハイフ)」である。
ハイフとは、「切らないフェイスリフト」として、近年、美容クリニックやエステティックサロンで人気を博す施術。高密度の超音波によって、皮下組織に熱エネルギーを加えることで、たるみを改善したり、小顔を叶えるというものだという。そんなハイフが最近、クリニックやエステより安価で受けられる「セルフエステ」として広がりを見せており、全国にフランチャイズ展開するサロンも登場、若者の間でブームになっている。
しかし、その裏で、利用者から「機器を自分で操作し顔にあてたところ、唇の神経を損傷した」「やけどのように赤く腫れた」といった相談が、国民生活センターに寄せられているというのだ。専門知識のない一般人が、神経損傷ややけどの危険性もあるというセルフハイフを行うのは、注意が必要と感じるが、美容クリニックの医師たちは、これをどう見ているのだろうか? 今回、広尾プライム皮膚科の沼尾真美先生に見解をお聞きした。
以前に比べて低年齢化? 「ハイフ」は20代にも人気
広尾プライム皮膚科でも施術メニューにあるというハイフ。もともとハイフは、「保険診療による幹細胞癌等の治療に用いられていた機械」と沼尾先生。高密度の超音波で腫瘍細胞を熱変性壊死させる治療で使われているものだという。
「美容クリニックでは、SMAS層に熱エネルギーを加えることでコラーゲンの生成を促し、たるみを改善させるというのを主な目的としているケースが多いと思います。また熱収縮させることによるリフトアップ効果も期待できます」
この熱収縮とは、牛肉などを火で焼いた時に、キュッと縮む現象を想像するとわかりやすいとのこと。
「ハイフ施術を受ける方は、数年前だと『たるみが気になるけれど、糸を入れるなどの手術には踏み込めない』といった40〜50代、またそれ以上の年代が中心でしたが、最近では『小顔になりたい』という20代も多く、以前と比べて低年齢化している印象です」
沼尾先生いわく、たるみレベルが大きいほど、ハイフの効果はわかりづらい傾向があり、糸リフトなどの手術を行った上で、糸を入れられない箇所にのみハイフを施すケースもあるとのこと。一方、20〜30代のほうが即時効果を得やすい面はあるそうだ。