市販ホワイトニング歯磨き剤12点を、歯科医がジャッジ! 「歯が白くなる」効果の高い商品は……
「ホワイトニング」の流行により、芸能人だけでなく、一般人も「白い歯」を求めるようになった昨今。歯科医院やセルフホワイトニングサロンに行くよりも、安価かつ気軽にホワイトニングケアができる歯磨き剤などの市販品も増えているが、果たしてその効果は期待できるのだろうか?
「歯を白くすること」を目的に市販されているセルフケア商品12点の効果について、前回に引き続き、あやクリニック歯科・皮ふ科の吉田亜矢院長に話を聞いた。
(前回:“セルフホワイトニング”はホワイトニングにあらず! 歯科医が「まったく別物」とバッサリ!)
――歯科医院で行う「ホワイトニング」は、歯そのものを“白くする”もの、サロンで行われる「セルフホワイトニング」は“本来の歯の色に戻す”ものだと伺いました。市販のセルフケア商品には、「ホワイトニング」と表記されているものも多く存在しますが、歯科医院で行われている「ホワイトニング」と同じ効果を期待していいのでしょうか?
吉田亜矢氏(以下、吉田) 「ホワイトニング」を謳っているからといって、歯科医院で行うホワイトニングと同等の効果は得られません。“歯を白くする”“汚れを落とす”というよりは、“汚れを浮かせやすくする”クレンジングの作用があるととらえたほうがいいと思います。
――セルフケア商品には、ペースト、ジェル、パウダー、デンタルリンス、消しゴム(スポンジ)など、さまざまなタイプがあります。どの形状が一番「歯の汚れを浮かせやすくする」効果があるのでしょうか?
吉田 その製品に含まれる薬剤の濃度をできるだけ保ったまま、歯に付着させることが大切かと思います。例えば、マウスウォッシュ製品であれば、最初に60秒ほど口をゆすいでからブラッシングすることを推奨していますよね。それは、歯の表面に直接薬剤を付着させることで汚れを浮かせやすくしてくれるから。また、歯をコーティングして汚れを防ぐ効果のある製品もありますが、これもやはり薬剤の濃度を保ち、歯に付着させることが重要。「汚れを浮かせる」だけでなく「汚れがつかないようにする」目的でも、ペーストやジェル状のものではなく、液状の製品を使うことをオススメします。
おなじみの「ホワイトニング」製品、その実力は?
では、一体どの製品を使えばより高い効果が得られるのだろうか。吉田院長に、ネットで話題の歯磨き粉10商品、歯磨き粉以外の2商品を対象に、「歯を本来の白さに近づける」「歯を白く保つ」効果の度合いをA〜Eの5段階で評価いただいた。その結果、今回の商品はいずれもA〜Cに該当し、まずまずの効果を得られるとのこと。ぜひ、セルフケアの参考にしていただきたい。
【商品名】スマイル コスメティックス「ホワイトニングペースト」85ml、1,430円(税込み)
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[成分]
〈湿潤剤〉ソルビット液、グリセリン、PG、PEG‐8、〈清掃剤〉無水ケイ酸A、〈発泡剤〉ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液、POE硬化ヒマシ油、ラウリル硫酸Na、〈洗浄剤〉ポリリン酸Na、炭酸水素Na、〈粘結剤〉PVP、キサンタンガム、〈粘度調整剤〉無水ケイ酸、ポリアクリル酸Na、〈香味剤〉香料(ホワイトミントタイプ)、サッカリンNa、〈清涼剤〉メントール、〈有効成分〉フッ化ナトリウム、〈pH調整剤〉水酸化Na、〈保存剤〉パラベン、〈着色剤〉雲母Ti、〈着色剤〉黄4
【評価】B
イオンクレンジング成分として、ポリリン酸ナトリウムを使用しています。ポリリン酸によるホワイトニングはエステ等でも行われていますから、歯の汚れを浮かすクレンジング効果を期待できるでしょう。ただし、ご自身がもともと持っている歯の色を“さらに白くする”効果は期待できそうにありません。口臭の原因になりがちな舌苔を落とす目的で炭酸水素ナトリウムが配合されているので、お口全体のさっぱり感も得ることができそうです。
【商品名】デンティス「デンティス ホワイトニング チューブタイプ」100g、1,815円(税込み)
【PRコピー】白い歯でもっと恋するハミガキ
[成分]
〈湿潤剤〉ソルビトール、〈研磨剤〉シリカ、〈基剤〉水、〈香味剤〉キシリトール、〈湿潤剤〉グリセリン、〈保湿剤〉チャエキス、〈発泡剤〉ラウリル硫酸Na、〈結合剤〉PVP、〈研磨剤〉ヒドロキシアパタイト、〈pH調整剤〉三リン酸5Na、〈増粘剤〉セルロースガム、〈着色剤〉酸化チタン、〈防腐剤〉メチルパラベンNa、〈香味剤〉サッカリンNa・メントール、〈抗酸化剤〉アスコルビン酸、〈着色剤〉マイカ、〈香味剤〉セイヨウハッカ油、〈賦香剤〉ユーカリ葉油、チョウジ花油、〈保湿剤〉セージ葉エキス・カミツレ花/葉エキス・ウイキョウ果実エキス・カンゾウ根エキス・カシア樹皮エキス、〈着色剤〉青1・青205
【評価】B
ヒドロキシアパタイトは、タンパク質を吸着する効果があります。ブラッシング時に汚れを吸着し、微小シリカによる研磨効果との相乗効果で歯の表面に付いた茶渋などの汚れを落とすクレンジング効果が期待できそうです。また、香味剤として配合されているキシリトールには、虫歯菌の働きを弱める効果もあります。
なお、抗酸化剤として含まれているアスコルビン酸(ビタミンC)は、コラーゲン繊維を強くする効果があり、公式サイトには「ビタミンC(アスコルビン酸)配合し、歯茎をケアします」と記載されていますが、食品やサプリメント等でビタミンCを服用したほうがその効果を得られるでしょう。
【商品名】ライオン「クリニカアドバンテージNEXT STAGE +ホワイトニング ハミガキ」658円(税込み)
【PRコピー】歯ぐきが下がって無防備になる歯の根元まで1本でトータルケア。蓄積黄ばみも浮かせて除去。
[成分]
〈湿潤剤〉ソルビット液、PG、〈清掃剤〉無水ケイ酸A、〈コーティング剤〉DL-ピロリドンカルボン酸ナトリウム液、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、〈発泡剤〉ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液、POE 硬化ヒマシ油、POEステアリルエーテル、ラウリル硫酸Na、〈粘度調整剤〉無水ケイ酸、キサンタンガム、〈香味剤〉香料(ベリーミントタイプ / ハーブミントタイプ)、サッカリンNa、〈粘結剤〉アルギン酸Na、〈清掃助剤〉ポリアクリル酸Na、〈薬用成分〉フッ化ナトリウム(フッ素として1450ppm)、デキストラナーゼ(DEX)、ラウロイルサルコシンNa(LSS)、〈清涼剤〉メントール、〈洗浄剤〉テトラデセンスルホン酸Na、〈光沢剤〉雲母Ti、〈安定剤〉DL-アラニン、グリセリン脂肪酸エステル、〈着色剤〉黄4、赤106
【評価】C
「クリニカ」シリーズは、DEX:デキストラナーゼによる歯垢分解効果に定評があります。また、虫歯予防になるフッ素は1450ppmと、国内基準ギリギリの高濃度配合のため、より高い効果が得られるでしょう。また、TDS(テトラデセンスルホン酸Na)による、歯の着色汚れを落とすクレンジング効果にも期待できる商品です。歯磨き粉自体の粘度を調整するポリアクリル酸ナトリウムが配合され、歯の根元に歯磨き粉がとどまりやすいため、「歯の根元の黄ばみまで落とす」という効果があるのかもしれません。
【商品名】エクロール「ドクターオーラ ホワイトニングパウダー」26g、1,430円(税込み)
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[成分]
〈清掃剤〉ヒドロキシアパタイト、シリカ、ピロリン酸Ca〈溶剤〉水〈粘結剤〉結晶セルロース〈湿潤剤〉グリセリン、BG、グリコシルトレハロース、加水分解水添デンプン〈可溶剤〉ポリソルベート80〈発泡剤〉ラウロイルグルタミン酸Na〈甘味剤〉キシリトール、ステビア葉/茎エキス〈矯味剤〉グリチルリチン酸2K〈清涼剤〉メントール、ハッカ油、アニス油、ユーカリ油〈洗浄剤〉キラヤ樹皮エキス、ポリリン酸Na〈pH調整剤〉炭酸水素Na〈光沢剤〉パール
【評価】B
ポリリン酸ナトリウムによって汚れを浮かしやすくし、ヒドロキシアパタイトで吸着、研磨することで汚れを落とす効果に着目した商品です。パウダータイプという珍しい形態の歯磨剤で、ペーストタイプの歯磨き粉よりも、研磨によるクレンジング効果が高そうです。