中学受験生の母、「下の子を放置してしまう」問題……きょうだい間の「教育費格差」は遺恨となる?
受験がなくとも、親がどれだけ目をかけたかについては、きょうだい間で格差が生まれがちだ。親も、上の子の時は何もかもが初めての経験になるので、気を張って身構えがちになり、何でもかんでもしてあげたいという気持ちになる。こと上の子の受験生活が始まると、下の子をないがしろにするつもりはなくとも、体はひとつ、手は2本という状況下では、もしかしたら、まだ幼い下の子に我慢を強いる面は否めないだろう。もちろん、下の子が受験生になった際、親は上の子の時と同じように、下の子に集中するようになる(集中せざるを得ない)ので、この問題は時間とともに自然と解決していくことも多い。しかし翻すと、だからこそ「家族の中で余計に軽視される問題」なのかもしれない。
ところが、そんなこのきょうだい間格差が大問題に発展するケースがある。
ミホさん(仮名)は3人の子宝に恵まれた。長男は聡明なタイプであったため、公立小学校の授業に浮きこぼれてしまい、学校に行き渋るようになったという。そこでミホさんは長男に合ったレベルの教育環境を整えるべく、中学受験をさせることにしたそうだ。クラスメートから「ガリ勉」と揶揄される学校とは違い、どれだけ勉強しても非難されない塾通いに喜びを見いだした長男は、その後、トップ校に入学した。
続いて次男は、小学校でいじめに遭ってしまい、クラスメートと同じ公立中学に行くのは嫌だと拒否したために、中学受験に挑戦することに。面倒見の良さで知られる中高一貫校に入学した。
そんな中、末っ子の三男は中学受験塾には通わず、地元の公立中学に入学。その理由を聞いた筆者に、当時ミホさんはこう答えた。
「だって、三男は小学校で、何の問題もなかったんですもん。ウチみたいなサラリーマン家庭で3人も同時に私立に行かすことなんてできませんよ。お兄ちゃんたちも、本当は公立に行ってほしかったんですが、そうせざるを得なかっただけなんです。それで三男は当初の予定通り、公立に進むことになったわけです。三男も特に何も言いませんでした」