コラム
“中学受験”に見る親と子の姿

中学受験生の母、「下の子を放置してしまう」問題……きょうだい間の「教育費格差」は遺恨となる?

2020/04/26 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)
Photo by WalkingGeek from Flickr

 中学受験は親子の受験。精神年齢が相当高い子を除き、大多数の子たちに親の尽力はマスト。多くの場合、小学校4年生からの3年間、母か父、もしくは両親がわが子にかかりきりにならなければ、事実上、受験をめぐるアレコレに対応できない。その弊害は数々あるのだが、今回は意外と軽視されがちな問題について語ってみよう。

 その問題とは「下の子問題」である。それは「上の子の中学受験に全力投球しすぎて、下の子を放置したような状態になり、かわいそうな思いをさせてしまった」ということに代表される。この問題は、それこそ夫婦で連携を取りたいところなのではあるが、夫が企業戦士、あるいは夫婦共々多忙となると、「下の子」は結果として放置になりやすいのだ。

 筆者にも覚えがある。上の子の中学受験に備えていた時期、低学年だった下の子は完全に置き去り。とにかく上の子の受験勉強の邪魔にならずに、おとなしくしていてくれたら、それでよかったのだ。つまり、下の子の都合など、一切、考慮に入れなかった。いや、入れる余裕がなかった。

 当時の暮らしは、例えば、こんな感じだった。上の子を塾に送るため、午後4時に自宅を出なければならない場合、下の子には問答無用で友達との遊びを切り上げさせて帰宅を厳命。下の子には何の用事もないのに、無理矢理、上の子と一緒に車に乗せられて塾へ直行し、また自宅へ。さらに、午後8時過ぎには、お迎えのためにまた同じ道のりを往復させられるなんてことは当たり前だったのだ。

 上の子が6年生になると、下の子は家に自由に友達を連れてくることも禁止になった。当然、テレビ視聴は、上の子が塾に行っている時のみ。今思えばの話だが、上の子が下の子と同じ学年の時は、何の制約もなく自由に遊んでいたのに、下の子にはそれを許さなかった。そして、上の子が中学に入学するや否や、今度は下の子が入塾。考えてみれば、下の子の小学校生活は中学受験のスケジュールに縛られ、それに強制的に付き合わされる毎日だったのだ。

 子どもは意外と柔軟で、「そういうものだ」と割り切って生活していたらしく、我が家の場合だけかもしれないが、下の子はむしろ自分が入塾する日を楽しみにしていたという。しかし、安心したのも束の間、その理由を聞いたところ、私は思わず泣けてきた。

 「お兄ちゃんがママからすごく大事にされてたから、次は私の番だな! って思ってた」と言ったのだ。子育てを完全に誤った気がして、すごくショックだった。

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