志村けんさん、幻となった映画『キネマの神様』で「主演男優賞確実」と言われたワケ……映画評論家語る
一方で、これまで拒んできた俳優業に、70歳になって挑もうとした心境の変化について、テレビ関係者は次のように説明する。
「自他ともに認める“マンネリ”をひたすら続けてきた志村さんですが、舞台の『志村魂』では、いつものバカ殿様に加えて、松竹新喜劇で藤山寛美さんが演じた舞台をリメークしていました。NHKのコント番組『となりのシムラ』でも、ドラマの中に笑いを取り入れるといった内容で、これまでの“歩み”とは違う喜劇への志向がここ数年強くなっていたのです。年齢的に体が動きにくくなる中で、70〜80代の活動を見据えていたのでしょう」(テレビ関係者)
満を持しての主演映画が完成していれば「主演男優賞の可能性もあった」と語るのは、前出の吉田氏。
「山田監督は、ハナ肇さん、渥美清さんなど、バラエティ番組でおなじみだった芸人たちを生かすのがうまい監督ですから、これまでにない志村さんの味わい深い一面を引き出していたと思います。同年代の俳優に比べても突出した存在感を持っているので、来年の映画賞で、主演男優賞を総ナメにしていても不思議ではありませんでした」
現在、『キネマの神様』の撮影は新型コロナウイルス感染拡大を防止するために一時中断しており、志村の代役は「調整中」(映画関係者)だという。
「おそらく、志村さんと縁があって年齢も近く、山田作品に出演経験がある俳優を代役に選ぶのではないかと思います。その基準で予想すると沢田研二さん、柄本明さんが有力ではないでしょうか。それから、加藤茶さん。若い頃の加藤さんは、菅田将暉さんに似ているので、同じ役の過去と現在を二人で演じればピッタリです」(吉田氏)
志村の死去を受けて、「彼の早死が口惜しく、残念で残念で仕方ありません」とコメントした山田監督のもと、志村の遺志を受け継いだ新キャストで映画が完成することを祈りたい。