「早くラブホでセックスしたい」新型コロナ騒動で“自粛中”……不倫中の二児の母、魂の叫び
大学を卒業した後、彼とは自然消滅をしたそうだが、30代に入り、同じサークルに所属していたカップルの結婚式で菜美さんと彼は再会し、再び男女の関係となる。
「彼も家庭を持っています。もちろん私もそうですが……家庭を捨てて彼と一緒になろうなんて微塵も思いませんよ。どう考えても、『平均点』の私に、彼は不釣り合いです。ただ、私は数カ月に一度ある、彼からの気まぐれな連絡に助けられてます」
彼からの気まぐれな連絡は、いつも決まって、菜美さんの職場が忙しくなる「月末に会おう」という内容だという。「仕事が忙しい月末だと、家族にも怪しまれませんからね。それから、彼はだいたい2週間前くらいに連絡をくれるんですが、これも私が仕事を調整しやすいようにという配慮。私にも、私の家庭にも気遣ってくれるところが、ちょっとうれしい」と菜美さんははにかむ。
彼と会う日は、それまでに仕事を片付けて、定時に退社し、たがいの職場や自宅から離れた駅で落ち合うという。軽くお酒と食事を楽しんでからラブホテルへ……というのが定番だそうだ。
「平凡な私が、唯一主人公になれる瞬間ですよ。よくファッション誌に掲載されている『1カ月コーデ』の主人公みたいな感じ。あの企画って、たいてい突拍子もなくドラマチックなことが起こるじゃないですか。そういう人生ってちょっと憧れちゃうんですよ」
毎日の仕事と育児でバタバタしている中、唯一菜美さんの清涼剤となっているのが「サークルのアイドルだった彼との時間」なのだろう。
「だからここ最近、コロナの影響で四六時中子どもたちと一緒で、三食ごはん作って食器洗って……っていうルーチンに、もう毎日疲れ果ててますよ! 早く彼に会いたい!」
そう電話越しに菜美さんは叫んだ。
今は、世界的に人々が疲弊している。菜美さんの魂の声を聞いて、あらためて一刻も早い新型コロナウイルスの収束を心から願った。
(文・イラスト/いしいのりえ)