コラム
「元極妻」芳子姐さんのつぶやき76

コロナで覚醒剤不足!? 元極妻が考える、世界的感染拡大とヤクザの経済問題

2020/03/29 16:00
待田芳子(作家)

シンちゃんによると、感染への懸念から定例会などを控える組も多く、不要不急の外出は控えるようLINEで連絡も来ているようです。最近の組織の連絡は、たいていLINEですね。流行をいち早く取り入れるのもヤクザです。

 もっとも「二つの山口組」は、今は特定抗争指定を受けていて、ほとんどの事務所を使えないので、集まろうにも集まれない状況です。そんなに重要な話でなければLINEや電話で済みますから、会合はなくてもいいんでしょうけど、ここへきて覚醒剤などの違法薬物の輸入減が問題になっているそうです。

「年明けから少しずつ中国の闇工場が稼働できなくなってたんですが、今はほとんど閉鎖状態ですね。それに、コロナは世界中に広まってますから、品不足は深刻です。北朝鮮は正式には感染を公表してないけど、そんなわけないですからね」とシンちゃん。

 たしかに、北朝鮮での感染拡大は新聞にも出てますよね。

「イランの感染がハンパないでしょ? 経済制裁で医療インフラがめちゃめちゃなのは北朝鮮も同じですから、(このまま感染者が急増すると)もう覚醒剤は作れないかもしれません。そうなると、これからマジ覚醒剤が足りなくなります。コカインやヘロインも同じ。(産出国の)南米のコロナ拡大もすごいことになってますから」
「なるほど。今の『在庫』は、どのくらいもつのかしら?」
「わかんないスけど、これからは密輸も難しくなるんで、むしろ(産出国の)在庫は減りにくいかもしれませんね」
「でも今はクスリとオレオレ詐欺くらいしかないから大変よね」
「そこっすよね。今だって食えないから半グレと組んだりして……」
「そうよねえ。シンちゃんは早くやめてよかったね」

 そんな話をして電話を切りました。いやはやコロナ感染拡大は、いろんなところに影響しているんですね。過剰な暴排で生活が苦しいヤクザたちがコロナでますます追い込まれているのは、かなり怖い状況といえます。これからも、まだまだいろんなことが起こるのでしょうね。

待田芳子(作家)

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻。夫とは死別。本名・出身地もろもろ非公開。自他共に認める癒やし系。著書に『極姐2.0 旦那の真珠は痛いだけ』(徳間書店)がある。

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最終更新:2020/03/29 16:00
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