コラム
“中学受験”に見る親と子の姿

中学受験に失敗、「絶対人に言えない学校」に入学――心が折れた優等生は「再生」できるのか

2020/03/28 19:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

 そんな未希さんだが、ある日の早朝、学校の門に到着すると、後ろから来た人に話しかけられたそうだ。

「おはよう、山田さん! 今朝も一番乗りだね!」

 振り返った彼女は仰天したという。なぜならば、その声の持ち主が、校長先生だったからだ。思わず口から出た言葉は「え? なんで私の名前を知ってるんですか?」。すると校長先生はニコニコしながら「そりゃ、知ってるよ。この学校の大事な生徒だもん!」と言ったという。

 それを契機に、未希さんと校長先生は毎朝、短い会話を交わすようになっていく。ある日の早朝、校長先生は未希さんを校長室に招き入れてくれたそうだ。「僕はね、学校に着いて、仕事をする前に自分で紅茶を入れて飲む習慣があるんだよ。杉下右京みたいでしょ(笑)? え? 知らない? そっか、中学生は『相棒』は見ないか(笑)」と、紅茶をご馳走してくれたという。

 未希さんは、当時のことを次のように振り返る。

「なんていうか、校長室があったかい雰囲気だったんです。紅茶の湯気の向こうに校長先生がニコニコしてらして……。私、なんだかわからないんですけど、泣いちゃったんですよね」

 校長先生は、嫌々Y学院に通っていた未希さんの心情を知っていたのか、こんな話をしてくれたんだそうだ。

「人生って思い通りに行かないことも多いよね。今朝も僕は、バスがギリギリで行っちゃって、悔しい思いをした(笑)。でも、僕はね、そんな時は“楽しいこと探し”をするんだよ。晴れたから気持ちいいなとか、今日の学食のランチは何かな? とかね。そんなことを考えてるうちに、バスに乗り遅れたことは忘れてることに気付くんだよ」

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