サイゾーウーマンカルチャー社会東京五輪の「問題」を振り返る カルチャー [再掲]インタビュー 安倍首相、東京オリンピック「延期容認」表明――いま振り返る「大会ボランティアと就活」問題 2020/03/23 17:59 サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman) 社会 Q.東京五輪ボランティアが、逆に就活の妨げになることは? A.使い捨てを前提に大量採用するブラック企業のいいカモになる可能性が高いと言えます。 採用担当者のなかには真逆の声もあります。「東京2020のボランティアを自慢げに口にする学生? そりゃ喜んで採用しますよ。安易にブームに押し流される、簡単にメディアの影響を受けて行動する学生は、会社の言うことも疑いもせず聞き入れます。言い方は悪いが、使い捨ての“兵隊”として最高ですから(笑)」(大手金融)。扱いやすい“素直”すぎる学生はブラック企業からは引く手あまたなのです。従順な学生を入れ食いできる「ボランティア経験者採用枠」ができる可能性さえあります。一般企業からは拒絶され、ブラック企業からは諸手をあげて歓迎される。きわめてリスクの高い就活戦術だと言わざるを得ません。 余談ですが、経団連の中西宏明会長が、2021年度入社から「就活ルール」を廃止すると述べたことにより、東京五輪のボランティア活動と就活がぶつかるのではないかと危惧する学生もいるでしょう。しかし現行の採用選考スケジュールを完全遵守している企業はありませんので、気にする必要はありません。採用意欲の強い企業はさまざまな手段で、ほしい人材に接触してきます。 Q.なぜ「ブラックボランティア」と言われるのか? A.東京五輪ボランティアをめぐるゴタゴタ、その元凶は“おもてなし”にあります。 東京五輪ボランティアへさまざまな不平不満が続出していますが、突きつめると1つの疑問に要約できます。「なぜ11万人もの無償ボランティアありきのオリンピック運営なのか?」。 不満や疑問を持つ人たちを、さらにいらだたせるのは、ボランティアは無償なのに、参加を呼びかけるウェブサイトやイベントには潤沢に予算が使われているということです。あきらかに矛盾しています。なぜこんな状況になっているのでしょうか? ボランティアが無償ではなくてならない最大の理由、それはズバリ“おもてなし”。言うまでもなく東京に誘致したときのIOCへのプレゼンコンセプトです。“おもてなし”は、善意からなる心づくしの歓迎という意味ですから、外国人観光客を迎えるボランティアたちがお金で働いているではマズいのです。しかしこの混乱している状況下で、湯水のように予算を使う組織委、東京都、さらに受注側の広告代理店は倫理が欠如しているとしかいいようがありません。 ただし「やりがい搾取」という表現は適切ではありません。「ボランティアをやりたいのに、研修とかめどくさそう。それにお金がもらえないなんてひどい!」というのは、甘えた考え、単なるわがままです。事前に条件が開示されているのですから、嫌ならやらなければいいだけのことです。 次のページ Q.そもそも「ボランティアの経験」は今の就活に有利? A.まっとうな企業は画一的な学生を必要としません。 前のページ123次のページ 楽天 東京五輪が待ちきれない!! 関連記事 新型コロナで開催揺れる東京五輪、パラ・メンタルコーチが「選手の心身」に及ぼす影響を解説東京五輪「マラソン・競歩」開催地の札幌、夏は本当に涼しいんですか?平昌五輪カーリング女子とYOSHIKIが引き起こした“現象”の共通点羽生結弦、宇野昌磨……平昌五輪男子フィギュア代表のイケメン度をDr.高須幹弥がジャッジ!「AKB48は日本の恥」東京五輪開会式に“出てほしくない”アーティストランキング