ジャニーズ・ラウールとディオールコラボの意義――化粧品業界を席巻する「男性モデル」と、韓国コスメの広告事情
世界的コスメブランド「パルファン・クリスチャン・ディオール」が、Snow Manのラウールとコラボレーションした。長い間、「女性の身だしなみ」「女子力を上げるアイテム」と謳われてきたコスメのCMに、ジャニーズの若手タレントが登場し、注目の的となっている。
2月下旬、ウェブメディア「ELLE ONLINE」上で公開された、ディオールとラウールのコラボ動画では、全身を真っ白なディオールの衣装で包み、Snow Manの新曲「KISSIN’ MY LIPS」にのせて艶やかに踊るラウールが映し出されていた。その姿は大きな反響を呼び、瞬く間にSNS上で拡散された。
ラウールは、2003年生まれの16歳。ベネズエラ人の父、日本人の母を両親にもつダブルで、ジャニーズ事務所に入所は2015年だ。19年1月にSnow Man の一員となり、今年1月にメジャーデビューを果たした。幼い頃から培ったダンスの実力で、グループ唯一の10代でありながらセンターを務める有望株だ。
この動画が目を引いたのは、16歳という若い男性タレントがコスメブランドのコラボ相手として抜てきされたから……というだけではない。ラウール自身が、動画に登場する「ディオール アディクト ステラー ハロ シャイン」の“FAITH STAR(620)”と「ディオール アディクト ステラー グロス」“STELLAR(092)”の2商品をつけて登場しているからだ。男性がリップを持ち、それを自らの唇に引いてみせている――その珍しさや、なんとも言えない表情に目を惹かれた人も多いのではないだろうか。
これまで、コスメ広告のイメージモデルを務めてきたのは、ほとんどが女性だった。当然、コスメは女性が使う物だと思われてきたからだ。しかし多様性の重要さが問われるようになった今、そうしたアプローチには変化が生じ始めている。顕著な例が、韓国におけるコスメ広告の変化だ。
本稿では、ラウールとディオールのコラボ広告の意味を考えるため、コスメ広告への男性モデルの起用という世界的なトレンドを探ってみたい。またこうした変化は、社会的にどんな影響をもたらすのか。前後編にわけ、じっくりと考察していこう。