なぜファッション業界は「セクハラが多い」のか? ストライプ社トップの騒動は「珍しくない」
去る3月初旬、「朝日新聞」と「週刊新潮」(新潮社)の報道によって、女性向けファッションブランド「earth music&ecology(アース ミュージック&エコロジー)」などを展開する株式会社ストライプインターナショナル(以下、ストライプ社)の代表取締役社長(当時)・石川康晴氏のセクハラ問題が浮上した。
報道によると、石川氏は複数の女性社員やスタッフにセクハラ行為を行っており、一昨年12月に臨時査問会が開かれたという。この査問会では、「宿泊研修時、石川氏がLINEで社員に『内緒だよ』とメッセージを送り、部屋に来るように誘った」という事例や、「地方視察の際、店舗スタッフを朝ホテルに呼び出し、同意がないままわいせつ行為に及んだ」という事例など、4件が報告されたとのこと。しかし、石川氏への処分は特になく、厳重注意にとどまったそうだ。石川氏は報道後、公式サイトで、「査問会では、セクハラの事実は認められなかった」とするコメントを発表したが、翌日には自ら一連の報道を理由に代表取締役社長を辞任するに至った。
ここ数年、「♯MeToo運動」が世界的な広がりを見せ、セクハラへの問題意識が高まる中で勃発した、有名アパレル企業トップのセクハラ問題は、世間に大きな衝撃を与えた。そんな中、国家公務員からファッション誌編集者、そしてファッション関係の法律問題を扱う弁護士に転身という異色のキャリアを持つ海老澤美幸氏が、自身のTwitterで「残念ながら、ファッション業界はセクハラやパワハラがまだまだ多い。 男性経営陣と多数の女性従業員というアパレルならではの構図の中、こうした古臭い男性が立場を利用するケースは珍しくないです」とツイート。アパレル企業ならではの「構図」に、その原因があるのでないかとの見解を示したのだ。
シャネルやディオール、ステラマッカートニーといった世界的なブランドが、「性差別撤廃」を前面に押し出す取り組みを盛んに行っているだけに、ファッション業界は特にセクハラ問題に厳しいといったイメージも強まっているが、今回、海老澤氏に業界の実態について話しをお聞きするとともに、セクハラ撲滅のためにすべきアクションとは何かを語っていただいた。