コラム
高橋ユキ【悪女の履歴書】
143カ所切り刻み、両手首切断――“お隣さん”に募ったオンナの恨み【練馬・隣家主婦メッタ切り殺害事件:前編】
2020/03/20 17:00
「チリンチリン」
明子さんはベルを鳴らして角を曲がり、自転車を止めて、家に入った。すぐに玄関にやってきた友子。玄関先に明子さんが戻ると、友子はいきなり手提げ袋から出刃包丁を取り出し、無言で顔をめがけ、切りかかった。
「何をするの! やめて!」
表へ出て助けを求める暇さえなかった明子さんの顔を、頭を、ただひたすらに包丁で斬りつける友子。玄関を上がり、六畳間へ、さらに奥の四畳半へと、家の奥へ逃げる明子さん。絶え間ない友子の攻撃に、血が噴き出してくる。切り刻まれた顔は、もとの顔を判別することができないほどに変形していた。そして意識を失うその直前に、おそらく見えなくなっていたであろう目で友子をにらみ、うめくように言った。
「……化けて、化けて出てやる。……化けて……」
(高橋ユキ)
――後編は3月22日(日)公開
最終更新:2020/03/20 17:00