女性ホームレスが交番で突然死! 「万引き犯の遺体」に対面――Gメンの「重い」経験
こんにちは、保安員の澄江です。
先日、学生時代からの親友と2人で、1泊の温泉旅行に行ってきました。ゆっくりしたくて出向いたわけですが、せっかくだからと景勝地まで足を延ばして歩き回ってしまい、余計に疲れた次第です。それでも大きな湯船で足を伸ばせば、みるみるうちに疲労は回復。おいしい地魚をつまみに温めのお酒をいただき、ホテルの部屋でマッサージをしてもらうと、いつのまにか眠ってしまいました。仕事柄、緊張している時間が多いので、一度気を緩めると、すぐに眠くなってしまうのです。自分の流したよだれの冷たさに目を覚ますと、隣でマッサージを受けていたはずの友人も、テレビをつけたままグラスを片手にソファで寝落ちしていました。その光景を見た瞬間に、10数年前の冬の日に捕捉した女性のことが鮮明に思い出されたので、今回は、そのことについてお話したいと思います
万引き犯は古くて暗い、雑然とした現場に集まる
当日の現場は、都内有数の繁華街に位置するスーパーS。東京の名所と言える街の中心にあるため、地元のお客さん以外に、酔客やホームレス、外国人観光客なども数多く来店される中規模総合スーパーです。長いことお世話になっているお店ですが、老舗店であるために造りが古く、私たちの逃げ場所となるトイレも和式で汚いので、正直なところを言えば入りたくない現場の代表格と言えるでしょう。
生魚と精肉、惣菜の揚げものを作る安い油の臭いを嗅がされながら事務所に向かい、古臭いトイレ用芳香剤のにおいが充満する事務所に入ると、官房長官の菅義偉さんによく似ている顔なじみの店長が出迎えてくれました。
「本日も、よろしくお願いいたします」
「ああ、今日は、あんたの日か。相も変わらず、たくさんいるから、なるべくデカいのを挙げてきてよ。カップ酒1本とか、おにぎり1個とか、そういうのは、もういいから」
「お気持ちはわかりますけど、マークしている人もたくさんいますし、一度見ちゃったら、それを見逃すわけにはいかないんですよ。とにかく、なにかあったら、お願いしますね。面倒なことは、こちらで全部やりますから」
「はいはい、全部警察に突き出してやろうね」
豊富な商品で埋め尽くされた店内は、どこを見ても雑然としており、何が起こるかわからない雰囲気を醸し出しています。だからこそ、万引きしてしまう方々に狙われてしまうのでしょう。彼らは、忌み嫌われる害虫と同じで、古くて暗い、雑然とした売場に集まってくるものなのです。