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『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』難病宣告を本人にしなかった時代「ザ・ノンフィクション 花子と大助 ~余命宣告から夫婦の700日~ 前編」

2020/02/25 17:25
石徹白未亜(ライター)

 日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。2月23日放送のテーマは『ザ・ノンフィクション 花子と大助 ~余命宣告から夫婦の700日~ 前編』。

『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)公式サイトより

あらすじ

 2019年12月。宮川大助・花子による会見が行われ、花子はがんの治療中で、復帰の目処はまだ立っていないことが発表された。花子の病気は18年3月、イベント『淀川寛平ウォーク』中に突然立つこともままならなくなり発覚。血液のがんのひとつ、症候性多発性骨髄腫と診断され余命半年を宣告される。翌月の4月、二人の紫綬褒章受章記念のイベントが開催され、花子はステージでいつもの調子で漫才を披露するも、楽屋ではずっと寝たきりで、横の大助はそんな花子を「坐骨神経痛」なのだと周囲のスタッフに話す。二人と一人娘のさゆみ、マネジャーと弟子しか花子の病気を知らない中での闘病生活が始まる。

 花子の腰にできたがんへの放射線治療が奏を功し、一時は弟子の結婚祝いに駆けつけるほど復調するも、全身に再発。放射線治療から化学療法へと切り替わり、寝たきりの生活で、体を前と後ろから支える人がいないと歩くこともままならなくなった。そんな花子を大助は毎日見舞う。

 19年12月の会見の当日、花子は半年ぶりに病院の外に出て、なんばグランド花月にて車いすで会見に臨み、大助に感謝の気持ちを伝えた。

かつて胃がんを知らされなかった花子

 花子は以前もがんを患ったことがある。人気絶頂の1988年に胃がんが見つかり、その際に大助は花子に病名を告げず、病室に泊まり込みで看病していた。当時は、難病名が本人に告げられないケースは多かったように思う。自分の本当の病名を知らずに亡くなった人は今よりはずっと多かったはずだ。

 がんとは思ってもいない花子は、病気が治った後も生活はすさむ一方で、夜も家に帰って来なかった頃、大助は夫婦喧嘩の中でかつて花子ががんだったことをはずみで話してしまう。命を落としていたかもしれない大病を患っていたことをあとから知る心境というのは、想像もできない。その晩、二人は一晩中話したといい、きっとこの夫婦の歴史にとって大きな転換点になる一日だったのだと思う。

 それから約30年後の2019年の会見で、症候性多発性骨髄腫の治療を続ける花子は、いつものしっかりと通る声でこう話した。

「復帰会見ということになっていますが、まだ復帰の目処はまったく立っておりません。退院の日にちもまだハッキリ決まっておりません。それでも生きている。生きれることが自分で証明できましたし、これからも証明していきたいので、皆さん方に諦めずに治療して、命を一日でも大切に伸ばしていってもらいたいなと思って、今回この会見に臨みました」

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