槇原敬之、「覚せい剤逮捕」報道に抱く“有罪”前提への疑問
下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!
週末、所用で富士山方面へ。国内外問わず観光客がいつもに比べてかなり少ない! 日本の後手に回った対応に世界からの非難も出ている。新型コロナウイルスの影響はさらに甚大に――。どうなる日本。
第495回(2/13〜2/18発売号より)
1位「槇原敬之容疑者逮捕 独占スクープ2連弾 79歳実父が慟哭告白『息子の人生も私たち一家ももう終わり…』」
「独占入手! 16年前から再捜査を…警察(秘)捜査資料を公開」(「女性自身」3月3日号)
2位「ビートたけし 別居39年前妻が初告白――『もう幸せになってね…』」(「女性自身」3月3日号)
同「ビートたけし 18歳下『まるで後妻業な女』のせいで孤立も 再婚“すすめたワケ”を実兄北野大氏に直撃」(「週刊女性」3月3日号)
3位「鈴木杏樹ショック!喜多村緑郎 不倫相手に妊娠迫られた名家女優」(「女性セブン」2月27日号)
2月13日、歌手の槇原敬之が覚せい剤取締法違反で逮捕された。21年前に逮捕されて以来の2度目の逮捕で、マスコミもワイドショーも大騒ぎだ。そんな中、「女性自身」の独占スクープは大変興味深い。
まずは槇原の実父への直撃。薬を断ち切っていると信じてきたという父の悲しくも複雑な胸中が伝わってくるものだ。特にこのコメント。「ただ、今回で2回目。もう、息子の人生は終わりだと思います。私らも、ここには住んでいられなくなりそうです……」。
そしてもうひとつが「自身」が16年前に入手した、大阪府警から流出したという薬物捜査の極秘資料だ。記事によると「自身」はこの資料を入手した際、大阪府警の“失態”をテーマに記事にしたが、実はそこに“人気歌手”と名前を伏せて報じた人物こそ槇原だったというのだ。16年前から警察は槇原をターゲットにしていた――。衝撃的事実だが、さらに2018年、槇原の公私に渡るパートナーA氏が覚せい剤で逮捕されるも槇原への容疑は決め手にかけ、そして昨年に大物売人が関西で逮捕された際、槇原の名前が挙がり、内定捜査の末、今回の逮捕に至ったという。
だがこれらから浮かび上がってくるのは、日本社会では一度警察に目をつけられたら終わり、そして一旦逮捕されたら終わり、実の父でさえ息子が“やった”と信じ込んでしまっていることだ。
だって槇原は今回の逮捕後も「僕は長いこと薬はやっていません」「検査をしても反応は出ないと思います」と覚せい剤使用を否定しているだけでなく、尿の簡易鑑定も陰性。さらに言えば、今回の容疑は今から2年も前の2018年3月に覚せい剤と危険ドラッグを所持していたというものだ。しかも2年前にパートナーだったA氏が逮捕された際、「覚せい剤は槇原のもの」と話したにもかかわらず、証拠がなく立件されず、A氏もすでに覚せい剤の単独所持と使用で有罪判決(執行猶予つき)が確定している。そしてA氏は逮捕の4日前、槇原の個人事務所代表を解任されているという槇原とは微妙な関係だった。あまりに不自然、なんでいまさら? 容疑は本当なの? と疑問に思わざるを得ないことばかりだから。
そして今回の「自身」の16年も前から警察が槇原に目をつけていたとの報道だ。ずっと、ずっと目をつけていた。追い回していた。そして今回の逮捕となったが、覚せい剤に関する物証はなし。尿検査もシロ。しかし、世間もマスコミも実の父でさえ“有罪”前提だ。推定無罪の原則は?
このまま自白もなければ、不起訴や無罪という可能性も十分ある。だからお父さまは息子の人生は終わりだとか、引越しを考えるようなことは待って欲しい。「自身」にコメントした後、東京へ向かうという槇原父。是非息子と面会できて、本人から事の真相を聞けることを願いたい。