コラム
“中学受験”に見る親と子の姿
中学受験終了後に「死にたい」と葛藤――滑り止め不合格で、本命校を「受けさせなかった」母の自責
2020/02/22 19:00
あれから早くも6年の歳月が流れた。先日、F中学の校長先生にお会いした際に、純君の話が出た。
「彼は部活も頑張りましたし、学園祭でも実行委員として盛り上げてくれました。本人の努力もあって、推薦で慶應に入りました。りんこさん、あなたとの約束は果たしましたよ(笑)」
私が麻友さんに渡した走り書きは「校長先生。再生工場、期待してます。純君をよろしくお願いします」というものだったと記憶している。
私立中高一貫校にはそれぞれ校風があり、それに憧れて受験するのは、とても良いことだ。憧れの学校に入学できたら素晴らしいことだと思う。しかし、哀しいかな、第1志望合格者は、「5人に一人」と言われるほど狭き門なのである。
思いが届かなかった時、母は責任を感じて「死んでしまいたくなる病」に罹患しやすいのだ。立ち直るには正直、時間薬が必要だが、もし、心のどこかで助けを必要としているのであれば、同じような経験をした元中学受験生の母、あるいは私のように、数多くの事例を知っている人に「(死にたいくらい)つらい」と言ってみよう。
私はこの20年あまり、「死にたいくらいつらい」という母に、数多くお目にかかってきたが、その経験から言わせてもらうならば「雨が降った方が地は固まる」のである。なぜならば、どの私立中高一貫校も、伊達に存在しているわけではないから。たとえ志望校ではなくとも、縁のあった学校で腐らずに頑張ることにより、子どもの人生は開けると思っている。
最終更新:2020/03/19 18:39