コラム
仁科友里「女のための有名人深読み週報」

ムロツヨシ、「彼氏いるの? 彼女いるの?」発言を“セクハラ”だと理解していないことの問題点

2020/02/13 21:00
仁科友里(ライター)

 「彼氏はいるのか? (いないと言われたら)そうか、かわいいのにな」というムロ発言は、もう一つの悪質さを秘めているように感じられてならない。「かわいいのにな」と付け加えることで、ムロは「褒めているのだから、セクハラではない」とアピールしているのかもしれないが、褒めたつもりがセクハラになることもある。

 2018年に、内閣府が発表した「セクハラ防止啓発ポスター」がある。これは、男性の「今日の服かわいいね。俺、好みだな」「痩せてきれいになったんじゃない?」という、“褒めたつもり”の発言について、女性が「関係ないでしょ!」「そういうとこだけ見ているんですね…」と不快感をにじませるという内容になっている。そして「セクハラを決めるのはあなたではない」という結論が書かれているのだ。

 セクハラに関しては、この言葉はセーフでこれはアウトと簡単には判断できないだろう。しかし、確かなことは「褒めているから、セクハラにはならない」とは言いきれないということだ。「褒めているのだから、いいじゃないか」と憤慨する男性もいるかもしれないが、発言の内容ではなく、「仕事に関係ない部分」を勝手に査定してくる、男性の「上から目線」に、不快感を持つ女性も少なからずいると覚えてほしい。

 ムロと言えば、友人である元俳優・新井浩文が2019年2月に強制性交の容疑で逮捕された際、「目を見て、悪いことをした、と言ったら、思いっきり、叱ります、嫌という程、叱ります、それだけです、まだ目を見てない、だから俺は普段通り、これから飲みいってくるよ、来れそうだたったら、連絡してな、いってくるね、」とツイートした。新井のことと明言されていないものの、このツイートに「性犯罪を叱るくらいで済ませていいのか?」という批判が相次ぎ、炎上したことがある。

 おそらく、まだ起訴されるかどうかもわからないし、友人だからこそ信じたくないという気持ちを持っていたのだろうが、被害者の女性が存在していて、しかも性犯罪である。こうした軽々しい発言は、性犯罪もしくは女性を軽く見ていると思われても仕方がないだろう。ムロのような悪気のない性差別ほど、実は意識改革が難しいと言える。であれば、演技だけでいける実力派なのだから、人気を下げかねないバラエティーはあきらめたらどうかと思わずにいられない。

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2020/02/13 21:00
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