コラム
[連載]ヤリチン卒業!! 叶井俊太郎の子育て奮闘記

“見ると死ぬ”でヒット中の映画『アントラム』、劇場への営業中にあり得ない怪奇現象が起こっていた!

2020/02/17 19:00
叶井俊太郎(映画プロデューサー)

 この作品は、宣伝も難しかったんですよ。通常はマスコミ向け試写会を行ったり、映画ライター・映画評論家の方にDVDを送ったりするんだけど、この作品は“見たら死ぬ”ので試写会も中止! DVDも出さないという、マジで誰にも見せない状況のまま宣伝をすることになりました。それでもいくつかのメディアから「映画を紹介したいのでDVDをください」という連絡はありました。けど、「“見たら死ぬ”ので、映画を見ずに書いてほしい」と通常ならあり得ないお願いをすると、やはり「それは無理です。ちゃんと見て評価したい」というじゃないですか。なので「だったら書かなくて大丈夫です」 とお断りすることに。オレは30年近く映画宣伝の仕事をしてるが、こんな宣伝は初めての試み。唯一の露出は、上映劇場に置くポスター・チラシ、予告編くらい。あとは「TOCANA」でマメに進捗情報を更新するぐらい。たったこれだけの宣伝なのに、映画ファンたちがTwitterなどで、「“見ると死ぬ”映画がヤバイ!」と連日バンバン書き込んでくれてます。

 何も宣伝らしいことやってないので、公開直前に上映劇場でプロ霊媒師さんに『アントラム』の呪いを解いてもらおうと、除霊式をすることに。そこに東京スポーツの記者に取材にきてもらった。が、式の最中、突然霊媒師が卒倒してしまったので中断。霊媒師に何が起きたかを聞いたら「海外の霊が降りて来て、英語だったので何か言ってるか理解できなかった……」という。そしてその霊が、会場にいたオレにも襲いかかってきた! という顛末が翌日の東スポに「まさかの除霊失敗!」 というタイトルで掲載されました。オレの写真も載っていたので、小学4年生の娘ココに見せたら爆笑して、「学校の先生と友達に見せたいから、学校に持って行っていい?」と聞いてきた。

 しかし! 記事を読むと「バツ3、600人斬りのヤリチンの叶井の股間に霊が乗り移った」と書いてある! 先生がこの記事を見たらドン引きするでしょ。さらに、東スポだから裏面にはAV女優がおっぱい丸出しだし! ココには「学校には勉強以外のモノを持っていったらダメ!」と言い聞かせておきました。とにかくこの東スポの記事がネットでも拡散され、Twitterなどでバズりました。

 そして公開初日。金曜日の平日ということもあってあまり期待してなかったが、「ヒューマントラストシネマ渋谷」の14時の上映回がなんと満席に! すごすぎる! Twitterを見ていると、“見たら死ぬ”というワードに若者がかなり反応してる。「見て死んで来ます!」などと書いている人もいて、ネタにしやすいんだろうなぁ。劇場には「見ても死にませんか?」という問い合わせも結構きてるらしいし、スマッシュヒットの予感!

 ちなみに上映劇場ではTOCANAオリジナルのお化け探知機 、通称「ばけたん」を販売してます。これは、お化けがそばにいると、探知機が反応して色が変わるというもの。『アントラム』を見て、悪魔か霊に呪われたら色が変わるのです。おもしろいので、「ばけたん」を1つココにあげたんですよ。そうしたら「なにこれ? いらない! 怖いし、家に置かないで! ホント最悪~」と本気でイヤがってました。喜ぶと思ったら逆に怖がってた。たしかに「ばけたん」の色が変わったら、どうすればいいんだろう? その場から逃げろってこと? なにもできないよね? そう考えると、『アントラム』より「ばけたん」 のほうが怖いわ!

叶井俊太郎(映画プロデューサー)

2009年9月に漫画家・倉田真由美と入籍した、バツ3の元ヤリチン。09年11月に生まれたココちゃんと現在は家族3人暮らし。著書に『突然、9歳の息子ができました』(サイゾー)『ダメになってもだいじょうぶ—600人とSEXして4回結婚して破産してわかること』(倉田真由美との共著、幻冬舎)がある。

ヤリチン卒業!! 叶井俊太郎の子育て奮闘記

最終更新:2020/02/17 19:00
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