「洗顔ブラシ」「ニキビパッチ」で逆に悪化!? 形成外科医・上原恵理医師が「ニキビケア」を斬る
――某ニキビケアブランドでは、購入すると“洗顔ブラシ”がセットだったりします。このようなアイテムを使った方が早く治るんですか?
上原 ニキビ肌は非常に敏感なので、ブラシでの洗浄は絶対ダメ! 治るというより、傷口にさらなるダメージを加えているだけ。また、ニキビを潰すことも絶対にやめてください。そこから雑菌が入り、周囲の皮膚組織にまでダメージを与えたり、痕が残ったり、トラブルを大きくする可能性があります。
――ニキビ痕が残ってしまった場合、治すことはできないのでしょうか?
上原 ニキビ痕になってしまったら、美容皮膚科などの治療に頼るしかないです。内服薬やピーリングは効かないので、レーザー治療が必要になります。私も今、フラクショナルレーザーというニキビ痕の治療を繰り返し行っていますが、ダウンタイムを必要としますし、正直心が折れそうになります。ニキビ痕の治療はそれぐらい大変な上に保険適用外なので費用もかさむんです。早い段階で正しい治療を受けておかないと後悔しますよ!
マスクは雑巾と同じぐらい雑菌まみれ
――ニキビを悪化させないために、気を付けた方がいいことを教えてください。
上原 まずは食生活。脂っぽいものや、炭水化物など糖分が多いものは控えた方がいいです。あと、最近はほどよく皮脂を溶かす“ぬるま湯洗顔”も推奨されています。お湯が熱すぎると皮脂を取りすぎてしまい、かえって分泌量が増えてニキビの原因になるんです。また、「洗顔しすぎ、保湿しなすぎ」の人が多いので、ニキビが生じにくい製品である“ノンコメドジェニック製品”で保湿を適切に行いましょう。それから、ニキビがある時は、化粧をしないのがベスト。もし化粧するのであれば“ノンコメドジェニック製品” を薄く塗るぐらいに留めてほしいですね。また、患部にコンシーラーを塗ったり、韓国などではやっているニキビパッチを貼るというのは、毛穴をふさぐ原因になり、悪化させることもあるので控えてください。
――冬は風邪や乾燥対策のためにマスクをする機会が多くなります。マスクが原因でニキビが増えるってことはあるんですか?
上原 マスクが原因でニキビができやすくなるのは本当。マスクが擦れることによって肌に負担がかかりますし、ニキビ以外に肝斑の原因にも。また、マスクは時間がたつと、汚れた雑巾と同じぐらい雑菌まみれになるので、それがニキビの傷口に入り込むという危険性があります。マスクを着用するなら、こまめに取り換えることを心掛けてほしいですし、1度使った物を使い回すなんてもってのほかです! 職業柄、マスクを使用していますが、1日に5枚以上取り換えていますよ。
――ポリウレタン製のカラフルなマスクが流行していますが、こちらは繰り返し洗濯して使用できるようです。それでも不衛生なのでしょうか。
上原 我々が手術で使用する衣服や器具は、200度くらいで加熱し、特殊な機械を用いて殺菌、滅菌処理をします。そこまでやらないと殺菌できないので、洗濯したぐらいでは繊維の奥の菌は死にません。また石鹸カスもニキビの原因につながることがあるので、洗濯して再利用するのはやめた方がいいです。使い捨てマスクより高額だからもったいないと思う人もいるのかもしれませんが、肌のことを考えたらオススメできない商品。極論、パンツを顔に乗せるとしたら、新品と使い古しどっちがマシですか? と考えるといいかもしれませんね。
上原恵理(うえはら・えり)
2006年群馬大学医学部医学科卒業後、同年東京大学医学部附属病院研修医として勤務。08年に東京大学形成外科医局、10年帝京大学医学部附属病院を経て、18年より表参道スキンクリニック勤務。豊胸や乳房再建の最先端術式を数多く手掛けており、美容外科医の目線から、症例や美容法に切り込んだSNSが話題に。『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)や多数メディアに出演するなど、活動の場を広げている。
表参道スキンクリニック表参道院
Twitter:@dr_uehara
Instagram:スキンケア・痩身専門 @eri.uehara
Instagram:外科専門 @aesthetic_surgeon_dr.uehara