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映画『キャッツ』の猫は、なぜ「不気味」で「気持ち悪い」のか? 認知心理学の研究者が考察
2020/02/08 16:00
そんな「猫が不気味」「気持ち悪い」「ゾッとする」などと散々な言われようの『キャッツ』だが、映画自体は大ヒットしている。山田氏はこれを「怖いとわかっていてホラー映画を見るのと同様に、その『不気味さ』が直接自分自身に害を及ぼさなければ、『見たい』と感じる人はいるでしょうね」と語る。
「私は、『トライポフォビア』の研究も行っているのですが、これはブツブツの集合体を見た際に『気持ち悪い』『不気味』と感じる現象のことを指します。芸術家・草間彌生さんの作品も、こうした特徴があるものの、それを芸術レベルにまで昇華している。一見『気持ち悪い』『不気味』と感じるものでも、それによって注目を浴び、なおかつ芸術的なバックグラウンドがあると、逆に『良いもの』と評価されることがあるのです。『気持ち悪い』『不気味』とは、その対象物を目立たせるシグナルになると思います」
『キャッツ』の猫たちも、この“シグナル”を放っているのかもしれない。
山田祐樹(やまだ・ゆうき)
九州大学 基幹教育院 自然科学実験系部門 准教授。専門分野は認知心理学。「気持ち悪さと幸福感」「心理的な時間と空間と数の形成」「注意と意識」といったテーマでの研究を行う。
最終更新:2020/02/08 16:00