コラム
“中学受験”に見る親と子の姿
中学受験でミラクル合格! 月額20万円“課金”で偏差値アップ、「勝ち組親子」が入学後に見た地獄
2020/02/09 16:00
彩子さん(仮名)もそんな思考の波にのまれた一人であった。
彩子さんの夫、また夫親族も皆、高学歴で高収入。彩子さんの一人息子の龍平君(仮名)のいとこたちは、全員が高偏差値校の中高一貫校に通学していた。彩子さん自身は中堅大出身であるが、夫親族に対して勝手に学歴コンプレックスを持っていたという。
「夫からも夫親族からも、龍平の受験に関してプレッシャーをかけるような言葉は何もありませんでした。でも、私は龍平を『トップ校に入れなければ!』と勝手に思い込んでいたんです……」
しかし、龍平君の偏差値は思うように上がっていかない。中学受験専門塾でのクラスも、5年生の半ばまで、5クラス中最下位クラスだったという。
焦った彩子さんは、龍平君をこの塾に加え個別塾にも通わせたものの、下から2番目のクラスに上がっただけで6年生を迎えたそうだ。
さらに「どうにかせねば」と思い詰めた彩子さんは、プロ家庭教師に週3回自宅に来てもらうことに。中学受験に関する経費は月額で20万円を突破したという。
彩子さんは当時を振り返り、「なんでそこまでしたんですかね」とため息交じりに漏らす。
「あの時はもう止められない状況でした。実際、お金をかけたら龍平の成績が急にアップするようになって、偏差値も40台前半から、ごくたまにですが、60近くまでいくようになったんです」
その調子のまま迎えた受験本番も絶好調で、龍平君はチャレンジ校としていたトップ校Sに入学を決めた。
「もう有頂天でしたね、私は……。これで龍平の未来は安泰だと、私たちは勝ち組だと思いました」