コラム
老いゆく親と、どう向き合う?

母の死でわかった“一族の支配者”――「ママがいなくなったんだから……」優しい伯母の正体

2020/02/09 19:00
坂口鈴香(ライター)

 母親の死は、祖母や伯母にとっても、ぽっかり大きな穴が開いたようだった。

「それでも伯母は、早くに母を亡くした私のことを不憫に思ったんでしょう。それまで母がやってくれたように、私が出かけるときは娘たちを預かってくれたり、娘を迎えに行くと夕食のおかずを作っておいてくれたりしました。だから、もちろん母が突然亡くなったのは悲しかったのですが、伯母や祖母、従姉たちがいてくれることはまだ恵まれていると、感謝していたんです」

 そんな関係に少しずつ変化が表れてきたのは、母親の三回忌が終わった頃だった。

「実家に父の様子を見に行ったついでに、祖母のところにも顔を出したんです。というか、父のところに行こうとすると、必ず祖母と伯母の家の敷地を通らないといけなくなっているんです。すると、伯母からこんなことを言われました。『別荘に行くのはいいけれど、貴代ちゃんの子どもたちが使ったものが出しっぱなしだったり、掃除ができていなかったりする。これまでは貴代ちゃんのママが気を配ってきれいにしてくれていたし、別荘の使用料や管理費を毎年おばあちゃんに払ってくれていたのよ。貴代ちゃんは知らなかったかもしれないけど、別荘を維持するのに結構な金額がかかっているの。ママがいなくなったんだから、これからは貴代ちゃんにも使った分の費用くらいは払ってね』って」

――後編は2月23日更新

 

坂口鈴香(ライター)

終の棲家や高齢の親と家族の関係などに関する記事を中心に執筆する“終末ライター”。訪問した施設は100か所以上。 20年ほど前に親を呼び寄せ、母を見送った経験から、 人生の終末期や家族の思いなどについて探求している。

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最終更新:2020/02/09 19:00
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